著者
尾藤 利憲 高島 務 原田 晋 堀川 達弥 市橋 正光 足立 厚子
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.106, no.11, pp.1403, 1996 (Released:2014-08-13)
被引用文献数
1

重度の妊娠中毒症のため約2ヵ月間にわたってラテックス製尿道バルーンを留置された後,ゴム製品やバナナ,栗などとの接触で蕁麻疹や喘息症状,さらには1ヵ月に1度の割合でアナフィラキシー様症状をおこすようになった30歳女性の症例を報告する.検索の結果,ラテックス,バナナ,栗に対する即時型アレルギーがこれらのエピソードの原因と判明した.ラテックスは様々な果物と交叉反応を起こすことが報告されており,自験例の栗やバナナによる即時型反応もラテックスとの交叉反応によるものと考えられる.栗とラテックスの交叉反応の報告はまだ少ないが,栗による即時型アレルギーはアナフィラキシーなど重篤な症状を示す頻度が高い.最近ゴム製品使用者を中心にラテックスアレルギーの増加が注目されているが,そのような患者においては様々な果物,特に栗に対する即時型アレルギー合併の有無を検索する必要がある.