著者
原田 晋 堀川 達弥 市橋 正光
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.49, no.11, pp.1066-1073, 2000
参考文献数
37
被引用文献数
33

food-dependent exercise-induced anaphylaxisの本邦報告例167例を集計し, その臨床的特徴の解析を行った. その結果, 1)本症は男性特に10歳代に好発する, 2)原因食物は小麦が最多で次いでエビであるが, 20歳未満の症例ではエビが最多となる, 3)原因食物に対する即時型アレルギー検査は大部分で陽性を示し, 基本的にI型アレルギーに基づく反応と考えられる, 4)約40%の症例でアトピー性疾患の既往ないし合併を認め, 両者間には関連性があると考えられる, 5)誘発試験にアスピリンを加えたすべての症例でアスピリンの関与が認められ, アスピリンは本症の増悪因子として作用している可能性がある, 6)本症の報告は年次毎に増加傾向を認めている, 7)学童の昼食後の昼休みないし5時間目の体育の授業中での発症例が17例(10.2%)ある等の特徴が認められ, これらの結果から特に学校関係者に対し本症に関する知識を啓蒙する必要があると考えられた.
著者
織田 好子 一角 直行 堀川 達弥 猪又 直子
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.558-561, 2016-07-01

要約 41歳,男性.約10年前から全身の蕁麻疹・血圧低下・呼吸困難感などのアナフィラキシー症状を繰り返し,そのたびにエピペン®の自己注射を行っていた.さまざまな病院で多数の食品のプリックテストやスクラッチテスト,血清特異IgE抗体の検査を受けたが,長い間原因不明であった.今回,納豆摂取の2時間後に呼吸困難感が生じたため,納豆およびポリガンマグルタミン酸(poly gamma-glutamic acid:PGA)のプリックテストを施行したところ,両者で陽性であった.患者はサーファーであり,過去に頻回のクラゲ刺傷歴があった.PGAは冷やし中華のスープや種々の調味料などに含まれており,自験例の過去のアナフィラキシーのエピソードの中にもそれらを摂取して発症していた可能性が疑われた.クラゲ刺傷既往のある原因不明のアナフィラキシー患者の原因抗原としてPGAを考慮する必要があると考える.
著者
尾藤 利憲 高島 務 原田 晋 堀川 達弥 市橋 正光 足立 厚子
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.106, no.11, pp.1403, 1996 (Released:2014-08-13)
被引用文献数
1

重度の妊娠中毒症のため約2ヵ月間にわたってラテックス製尿道バルーンを留置された後,ゴム製品やバナナ,栗などとの接触で蕁麻疹や喘息症状,さらには1ヵ月に1度の割合でアナフィラキシー様症状をおこすようになった30歳女性の症例を報告する.検索の結果,ラテックス,バナナ,栗に対する即時型アレルギーがこれらのエピソードの原因と判明した.ラテックスは様々な果物と交叉反応を起こすことが報告されており,自験例の栗やバナナによる即時型反応もラテックスとの交叉反応によるものと考えられる.栗とラテックスの交叉反応の報告はまだ少ないが,栗による即時型アレルギーはアナフィラキシーなど重篤な症状を示す頻度が高い.最近ゴム製品使用者を中心にラテックスアレルギーの増加が注目されているが,そのような患者においては様々な果物,特に栗に対する即時型アレルギー合併の有無を検索する必要がある.
著者
堀川 達弥 船坂 陽子 長野 徹 加茂 統良 錦織 千佳子
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.482-488, 2008 (Released:2010-12-06)
参考文献数
13
被引用文献数
1

アトピー性皮膚炎17例の乾燥皮膚を対象にビーソフテン®ローションを8週間投与し,有効性および安全性の検討を行った。角層水分量は増加傾向を示したが有意ではなかった。経表皮水分喪失量は8週後では有意に低下した。乾燥,そう痒,紅斑,落屑,掻破痕の皮膚所見スコアは8週後では全ての症状が有意に改善した。Visual analogue scaleによる評価では,「見た感じのうるおい感」,「触った感じの滑らかさ」,「かゆみ」,「皮膚の色調」は8週後には有意に改善した。ビーソフテン®ローションの継続投与はアトピー性皮膚炎の乾燥皮膚に対して優れた治療効果を示し,高い患者満足度を与える薬剤であることが明らかとなった。
著者
小猿 恒志 五木田 麻里 堀川 達弥
出版者
一般社団法人 日本皮膚免疫アレルギー学会
雑誌
日本皮膚免疫アレルギー学会雑誌 (ISSN:24337846)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.111-115, 2018-04-30 (Released:2019-01-17)
参考文献数
16
被引用文献数
1

27歳, 男性。左手の浮腫を主訴に当科初診。数年前から年に6, 7回, 右手あるいは左手に浮腫が出現して, 1日後には改善することを繰り返していた。初診の数日前に家具の組み立てに際して金槌を使用した後に手に軽度の搔痒を伴う浮腫が生じた。初診時に左手背を中心に, 左第2, 3, 4, 5指に浮腫があった。補体とC1インアクチベーター活性は正常であった。左前腕の伸側に試験管振とう器による振動負荷試験を実施した。試験管振とう器の接触部だけではなく, 左前腕全体に潮紅および浮腫を認めた。加えて同部に軽度の搔痒の訴えがあった。7時間後も振動負荷した部位中心に発赤を伴った腫脹が持続した。圧負荷試験は陰性, 皮膚描記法は陽性であった。以上から振動血管性浮腫 (振動蕁麻疹) と診断した。
著者
山本 篤志 後藤 典子 神吉 晴久 堀川 達弥 錦織 千佳子
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.8, no.5, pp.546-550, 2009

71歳,女性。左顔面の有棘細胞癌に対して全摘術を施行した。術後,抗生剤としてセフタジジム(モダシン®)およびクリンダマイシン(ダラシン®)を投与したところ,投与後4日目に背部に無症候性の紅斑が出現した。8日目には全身に拡大し,間擦部には小膿疱が集簇してみられた。同時に38℃台の熱発と著明な乏尿を認め,血液検査では白血球とCRP,BUN,クレアチニン値の上昇を認めた。抗生剤をメロペネム(メロペン®)に変更後3日で熱発と乏尿は改善し,約10日で皮疹は検査所見とともに改善した。DLSTはモダシン®とダラシン®とも陽性であり,パッチテストはダラシン®で陽性であったことから,モダシン®およびダラシン®による急性汎発性発疹性膿疱症(acute generalized exanthenmatous pusutulosis:AGEP)および急性腎障害と診断した。
著者
山本 篤志 後藤 典子 神吉 晴久 堀川 達弥 錦織 千佳子
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association/Meeting of Keiji Dermatological Association
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.8, no.5, pp.546-550, 2009

71歳,女性。左顔面の有棘細胞癌に対して全摘術を施行した。術後,抗生剤としてセフタジジム(モダシン®)およびクリンダマイシン(ダラシン®)を投与したところ,投与後4日目に背部に無症候性の紅斑が出現した。8日目には全身に拡大し,間擦部には小膿疱が集簇してみられた。同時に38℃台の熱発と著明な乏尿を認め,血液検査では白血球とCRP,BUN,クレアチニン値の上昇を認めた。抗生剤をメロペネム(メロペン®)に変更後3日で熱発と乏尿は改善し,約10日で皮疹は検査所見とともに改善した。DLSTはモダシン®とダラシン®とも陽性であり,パッチテストはダラシン®で陽性であったことから,モダシン®およびダラシン®による急性汎発性発疹性膿疱症(acute generalized exanthenmatous pusutulosis:AGEP)および急性腎障害と診断した。
著者
堀川 達弥 高島 務 原田 晋 千原 俊也 市橋 正光
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.415-419, 1998 (Released:2010-08-25)
参考文献数
12
被引用文献数
2

アトピー性皮膚炎の特に皮膚乾燥部に対しグリコセラミド含有外用剤 (AKクリーム, AKローション) を4週間外用しその効果を検討した。やや有効以上を含め有効率は67%であった。不変20%, 増悪は13%であった。やや有用以上の有用度は67%であり軽症のアトピー性皮膚炎ではグリコセラミド含有外用剤は有用であると考えた。
著者
足立 厚子 堀川 達弥 市橋 正光 高島 務 小村 明彦
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.48, no.7, pp.719-725, 1999-07-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
16
被引用文献数
1

アトピー性皮膚炎(AD)と真菌との関連性を検討し, 抗真菌剤内服療法の有効性について研究した。ADを重症度, 総IgEレベル, 皮疹分布別にわけカンジダ, ピチロスポルム, ダニ特異的IgEクラス2以上陽性率を比較すると, ダニに比較し前2者は重症群, IgE高値群及び上半身優位群で有意に高くAD(特に成人型)重症化に重要な要因と考えられた。カンジダ特異的IgEが2以上の中等症以上のAD 140例に抗真菌剤内服療法を試みた。有効率はフルコナゾール60%, イトラコナゾール35%, アンフォテリシンB 31%, ナイスタチン28%であった。後2者は腸管から吸収されず, 腸管内カンジダはAD増悪因子として重要と考えられた。腸管吸収性のフルコナゾールの有効率がより高かったことから一部のADではピチロスポルムなどの腸管以外の真菌が関与している可能性が示唆された。腸管吸収性のフルコナゾールとイトラコナゾール間に有効率に差がある点については更なる検討を要すると考えた。
著者
足立 厚子 堀川 達弥 市橋 正光 高島 務 小村 明彦
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.48, no.7, pp.719-725, 1999
参考文献数
16
被引用文献数
3

アトピー性皮膚炎(AD)と真菌との関連性を検討し, 抗真菌剤内服療法の有効性について研究した。ADを重症度, 総IgEレベル, 皮疹分布別にわけカンジダ, ピチロスポルム, ダニ特異的IgEクラス2以上陽性率を比較すると, ダニに比較し前2者は重症群, IgE高値群及び上半身優位群で有意に高くAD(特に成人型)重症化に重要な要因と考えられた。カンジダ特異的IgEが2以上の中等症以上のAD 140例に抗真菌剤内服療法を試みた。有効率はフルコナゾール60%, イトラコナゾール35%, アンフォテリシンB 31%, ナイスタチン28%であった。後2者は腸管から吸収されず, 腸管内カンジダはAD増悪因子として重要と考えられた。腸管吸収性のフルコナゾールの有効率がより高かったことから一部のADではピチロスポルムなどの腸管以外の真菌が関与している可能性が示唆された。腸管吸収性のフルコナゾールとイトラコナゾール間に有効率に差がある点については更なる検討を要すると考えた。