- 著者
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李 璟媛
山下 亜紀子
津村 美穂
- 出版者
- 一般社団法人 日本家政学会
- 雑誌
- 一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 63回大会(2011年)
- 巻号頁・発行日
- pp.155, 2011 (Released:2011-09-03)
【目的】虐待による子どもの死亡に対して「しつけのつもりだった」「しつけが過ぎた」と言い訳をし,しつけに対する各々の家庭の方法を正当化しようとする保護者が後を絶たない.そこで,本研究では,子育て中の保護者が子どもに対して行う様々な行為をどのように認識しているのかを,しつけと虐待という視点から検討することを目的とし,分析を行った.
【方法】2010年11月から2011年1月の間に宮崎市における6保育園と5幼稚園の協力を得て,保護者を対象に1,266部配布し,832部回収した(有効回収率65.7%).調査内容は,「大声で叱る」「お尻を叩く」「一室に閉じ込める」「学校に行かせない」などの26行為に対して,(1)子育て中に実際に行ったことがあるかどうか,(2)一般的にそれらの行為は「しつけと思うのか」「虐待と思うのか」,(3)それらの行為をしつけとして認識して行ったかどうか,などの項目で構成した.
【結果】(1)子育て中に実際に行った行為について,「ときどきある」と「何度かあった」を合わせて9割を超えたのは「大声で叱る」の1行為,6割を超えたのは,「お尻を叩く」「手を叩く」「頭を叩く」の3行為である.(2)一般的に(1)の行為は「しつけと思うのか」「虐待と思うのか」について,_丸1_「大声で叱る」「お尻を叩く」「手を叩く」の3行為については,6割弱の人が「しつけとして行ってよい」と考えており,_丸2_「頭を叩く」「泣いても放っておく」「車に子どもだけを乗せたままにする」については,5割の人が「どちらともいえない」と答えた.さらに_丸3_「虐待になる」が9割を超えたのは,「やけどを負わせる」「食事を与えない」「学校に行かせない」などの7行為であった.(3)(1)の行為について,実際に保護者がしつけとして行っている行為は,「大声で叱る」が最も多く,8割弱の保護者がそう答えている.次いで「手を叩く」が続き,5割を超える結果となった.