著者
畑 克明 権藤 誠剛 高岡 信也 山下 政俊 清國 祐二 高旗 浩志
出版者
島根大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2001

15年度は本研究の最終年度にあたり、大学生のボランティア学習の評価の妥当性を実習報告の分析及びヒアリング調査によって明らかにした。「授業」で「ボランティア」を課すことに対する学生の戸惑いもあったようだが、実際に彼らは体験することによって成長したと振り返る。また授業として設定されていなければ自らボランティアとして活動をしていなかっただろうとも語っている。彼らの学びに共通する点は、社会教育施設等で実際に子どもと関わり、施設の専門職員と関わったことにある。中学、高校時代の部活動などを除き、異年齢での活動体験が極めて少ない彼らにとって、子どもと活動をともにするのは新鮮に映っていたようだ。おぼろげな子どものイメージから、多様な子どもの実態把握へと認識が高まった。施設職員の多くは義務教育学校の教員であるため、子どもとの関わりや子ども対象の事業に慣れている。それら職員との関わりは学生たちの進路を考える上でも重要であったようだ。現在、「学習ボランテイア基礎」及び「学習ボランテイア実習」はボランテイア体験レポートをもとに評価を行っているが、体験相互の関連性や経験の蓄積を重視した評価システムとしては十分ではなかった。その点で、経験のファイリングをしながら学生の自己主導的な学習を支援するポートフォリオ評価は参考となる。今後、島根大学教育学部では4年間の学部教育の中に1,000時間体験を位置づけることになるが、その基礎としても本研究の意義は大きかった。