著者
山下 清貴 和久屋 寛
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.101, pp.85-90, 2008-06-26
被引用文献数
3 3

ホップフィールドネットワークは,組み合わせ最適化問題の解探索法としての有効性が知られているが,必ずしも最適解が求まるわけではない.近年,その対策法として仮想磁場漸弱法が提案されており,先行研究によれば,仮想的な磁場パラメータを導入し,その極性反転によって正答率が改善するという報告がある.そこで本研究では,ネットワークの振る舞いを状態遷移の可視化表現とエネルギー関数の形状に着目して観察することにより,その動作メカニズムについて検討した.その結果,仮想磁場パラメータにはニューロン出力の切り替わる臨界値が存在し,仮想磁場パラメータの極性反転による正答率の改善は,この臨界値を超えることでニューロン発火の容易さを制御したためであることを明らかにした.