- 著者
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山下 裕子
- 出版者
- 特定非営利活動法人 組織学会
- 雑誌
- 組織科学 (ISSN:02869713)
- 巻号頁・発行日
- vol.27, no.1, pp.75-86, 1993 (Released:2022-07-15)
- 被引用文献数
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本論は,秋葉原の事例を通して,価格形成という市場プロセスを情報的相互作用という観点からとらえようとする試みである.「秋葉原価格」は,さまざまな商品の価格の差異と変動から,価格サーチや価格交渉を通して,マクロの需要,競争構造をとらえようとする個々の顧客や店の相互作用から,全体として生まれるマクロ秩序であるが,その形成プロセスには,「場」が重要な役割を果たしている.それは,「場」が,個々の価格の差異と変動とに意味を与える「関係情報」を共有させるような状況設定を提供するからである.