著者
足立 大 山中 健太朗 春原 政浩 降旗 建治 柳沢 武三郎 湯浅 昌謙
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.398, pp.81-86, 2002-10-18
参考文献数
4

本報では,日本の伝統建築物の一つである寺院(長野県信州新町 興禅寺)の音響特性と鳴らしものについて音響工学的観点から解析・検討した.寺院の残響特性を解析するとともに,施食会という儀式を録音・分析することによって,儀式に使われる鳴らしものについて周波数分析した.その結果から,本堂の残響時間は人の存在によって0.8秒前後(無)から0.7秒前後(有)へ変化すること,代表的な鐘の各共振周波数比が1:2.7:5であること等を明らかにした.そのような鳴らしものの中で,木魚は前報で検討し,等価回路に基づく合成木魚音が有効であることを明らかにした.この合成木魚音をバーチャル木魚音と呼び,引き続き,ばちによる力関数との畳み込みによる合成方式を提案し,バーチャル木魚と本物の木魚との合奏効果を検討した.その結果から,バーチャル木魚は本物の木魚と同様に使用できることが分かり,一人で何役もこなすことができる点でその有効性が検証されたと言える.