- 著者
-
山内 晋次
- 出版者
- 神戸女子大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2011
本研究課題では、10~16世紀頃のアジアにおける、火薬原料としての硫黄の国際的な流通構造の推移を、日本産の硫黄も含めて、全体的に考察することをねらいとした。その結果、10~13世紀頃のアジアにおいては、当時世界で唯一、火薬・火器技術を保持していた中国に向けて、その原料としての硫黄が一極集中的に流れ込んでいく、という国際的な流通構造がみられたことが明らかになった。そして、続く14~16世紀頃になると、中国による火薬・火器技術の独占が崩れ、アジア各地にその技術が伝播したことに伴い、中国も含めた複数の地域を流入の核とする多極的な国際流通へと、大きく構造が変化したことがわかった。