著者
佐藤 成美 山内 さつき 高林 範子 石井 裕
出版者
岡山県立大学保健福祉学部
雑誌
岡山県立大学保健福祉学部紀要 = BULLETIN OF FACULTY OF HEALTH AND WELFARE SCIENCE, OKAYAMA PREFECTURAL UNIVERSITY (ISSN:13412531)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.45-55, 2015-03-12

本研究の目的は、マスク着用による音声への影響と話し手の音声の特徴が聞き手の聞き易さにどう影響しているかを、音声分析により明らかにすることである。音声実験では、被験者6 名に日常生活会話と同程度に話す「標準音声」、大きく・はっきり・ゆっくりと、を意識して話す「明確音声」をマスク非着用時と着用時で録音した。次に聴取実験では、別の被験者10 名に録音した音声を聞かせ、どちらが聞き易いか【声の大きさ・声の高さ・話す速度・間隔・アクセント】を基準に評価させた。その結果、マスク着用時の「標準音声」と「明確音声」の声の大きさには、有意な差は認められなかった。これは、マスク着用により発声が妨げられたことによるものと考えられた。また、聞き易い音声とは声の大きさだけではなく、抑揚をつけ話す速度も遅くすることが聞き易い音声にとって必要な項目であり、マスク着用時の円滑なコミュニケーションに繋がるという示唆が得られた。