著者
仲野 宏紀 明石 直子 和田 知未 井出 恭子 井上 敦介 宮部 貴識 山内 一恭
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.261-265, 2021 (Released:2021-09-16)
参考文献数
15

せん妄は終末期がん患者の30〜40%に合併し,死亡直前は患者の90%がせん妄状態にあるとされるが,治療抵抗性で,嚥下困難や静脈確保困難により薬物投与経路が制限される場合も多い.今回,終末期がん患者のせん妄に対しアセナピン舌下錠の使用を経験したので報告する.緩和ケアチームが介入し,アセナピン舌下錠を投与した患者6名を対象とした.アセナピンは,せん妄による不穏に対し,他の抗精神病薬が無効あるいは使用できないために選択され,明らかな有害事象なく一定の鎮静効果を認めた.全例が嚥下あるいは呼吸機能障害のために,制御困難な呼吸困難や窒息感を合併していた.アセナピン舌下錠は,内服や静脈確保困難な終末期せん妄患者において,せん妄による不穏制御の選択肢の一つになりうると考える.
著者
中蔵 伊知郎 木原 理絵 阿部 正樹 河合 実 関本 裕美 廣畑 和弘 山内 一恭 小森 勝也
出版者
一般社団法人 日本腎臓病薬物療法学会
雑誌
日本腎臓病薬物療法学会誌 (ISSN:21870411)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.11-16, 2013 (Released:2018-04-02)
参考文献数
8

liposomal amphotericin Bは、低カリウム血症の発生が問題となる。L-AMB投与による低カリウム血症の発現頻度が腎機能の程度によって異なるか否かを明らかにすることを目的とし、我々は、L-AMBによる低カリウム血症の発現頻度を腎機能別で確認したので報告する。国立病院機構大阪医療センターにおいて、L-AMBを3日以上投与された成人の入院患者46名を対象とした。今回の検討では、腎機能の程度によらず、低カリウム血症の発現が認められた。また、腎代替療法を施行されている患者においても低カリウム血症が認められた。しかし、腎機能別での発症頻度に差はなかった。このため、L-AMBを使用する際には、腎機能の程度に関係なく、早期から血清カリウム値のモニタリングをすることが望ましい。