著者
木内 祐二
出版者
日本医療薬学会
雑誌
日本医療薬学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.14, 2004-09-01

医薬分業が進展し、病院、薬局ともに患者への服薬指導が重要な業務となった現在、患者とのコミュニケーションは薬剤師に最も必要とされる能力の一つであろう。従来、大学ではコミュニケーションの学習は殆ど実施されておらず、実務の現場においてもコミュニケーションの教育や研修は必ずしも標準化されていない。また、医療の中心は言うまでもなく患者であるにもかかわらず、薬剤師側の視点のみで患者とのコミュニケーションが指導されることも多い。このように、多くの薬剤師は自らの経験や先輩薬剤師の経験に基づいてコミュニケーション能力を身に付けてきたため、得られた能力は個人の経験や資質に依存して個人差も大きく、患者にとっては適切と言えないような対応も時に見受けられる。医学部では患者が求めるコミュニケーション能力の習得のために、数年前から臨床実習前に標準化された医療面接のロールプレーの試験(OSCE)が取り入れられ、近々、必修化される。本ワークショップでは、OSCEなどで患者の立場から医療人教育に参加されている模擬患者(SP)さんとの服薬指導ロールプレーを参加者の代表が体験し、患者にとって望ましい医療コミュニケーションはどのようなものかを参加者全員で討議する。薬局と病棟での3つの場面設定における服薬指導のロールプレーとSPさんからのフィードバックを体験あるいは見学・評価する。この参加型のワークショップが、より良い医療を求める患者の思いを知る機会となることを期待している。
著者
高橋 晴美
出版者
日本医療薬学会
雑誌
日本医療薬学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.14, 2004-09-01

このワークショップでは初めに心不全(CHF)患者の臨床所見・AHAガイドラインに基づく治療法のポイントと薬物を体内動態パラメターに基づいて特徴づける方法について簡単に説明し、それらの知識を実際の患者症例に応用する練習をしていただきます。どの症例にもあてはめることのできる薬剤師としての基本的な患者症例に対する取り組み方について以下の手順に従って理解し、臨床の現場で患者さんをフォローする時に応用できるようになって下さい。1.まず、必要な患者情報を把握・選択し、カルテやインタビューからそれらを収集します。2.次に、得られた情報を基に患者さんが現在有している医学的問題点や薬物治療に起因する問題点を緊急性の高い順に全てリストアップします。次のステップ以降は各問題点ごとに進めて下さい。3.各問題点のSubjective/Objectiveデータをピックアップします(患者情報、身体所見、検査所見を参考に)。4.各問題点のリスクファクターをリストアップします(背景因子の把握)。5.各問題点ごとに計画されている薬物治療の必要性・妥当性について、以下の項目に従って評価していきます。A.薬物選択-薬物治療が必要か?-Evidenceに基づいた薬物選択か?B.PKシートの作成-投与量・投与方法・投与期間-副作用・相互作用C.コンプライアンス6.各問題点ごとに患者さんに最も適切な治療計画を立案し、治療効果を判定するモニタリングパラメターを設定して、治療のゴールを明確にします。7.計画された薬物治療による副作用や相互作用のモニタリングパラメターを設定し、あらかじめおこった場合の対策を立案しておきます。8.服薬説明を立案します(患者さんの理解度を把握することが重要です)。