著者
山内 啓正 向坂 友里 原田 雅己
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.22-30, 2020-02-25 (Released:2020-04-24)
参考文献数
16

種々の野菜や果物(同じ科や属のものを含む計70品目)を用いて,飲料や乳製品への混入を想定した識別法について検討した.大きさ1~数mm程度の植物片からDNAを抽出し,色素体rpl16–rpl14リンカー配列(約550塩基対)をPCRで増幅した後DNA塩基配列を決定し,相同性解析およびSNP (一塩基多型)解析を実施したところ,供試植物は,近縁種間での識別が困難なものがあったが,属レベルあるいは種レベルで,38グループに分けることができた.本法は,一部の近縁種間での識別精度や酸性下でのDNA安定性に課題は残るものの,製品や原料などに混入した植物片異物の特定とさらにその混入原因究明への寄与が期待されるものと考える.
著者
山内 啓正 原田 雅己 但馬 良一
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.265-268, 2018-12-25 (Released:2019-01-09)
参考文献数
7

ミトコンドリア遺伝子ND5の多型を利用して,昆虫をその主要な5つの分類学上の目(双翅目,膜翅目,半翅目,鞘翅目,鱗翅目)のレベルで識別する方法を開発した.すなわち,複数の種のDNA塩基配列を決定し,それぞれの目に特徴的な塩基を19塩基以上見いだした結果,従来技術より正確にまた簡易に,目のレベルでの識別を行えることが分かった.
著者
山内 啓正 原田 雅己 宮ノ下 明大
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.220-222, 2018-10-25 (Released:2018-11-14)
参考文献数
4

近年,著者らはコクヌストモドキのミトコンドリア遺伝子の多型性について報告した.そこで,本報では,SNPを含むMGB TaqMan probeを用いるリアルタイムPCRにより,日本の本州で採集されたコクヌストモドキを本州以外の地域で採集されたものと容易に識別する方法を確立した.なお,本法はDNA断片化が予測される室温で5か月保存されたサンプルや加熱,加圧,ガンマ線照射によりDNAに損傷を与えたサンプルにも適用可能であった.