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著者
山内 正雄
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.299-301, 2011-06-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
4
著者
山内 正雄
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.717-719, 2018-08-15

はじめに 世界理学療法士連盟(World Confederation of Physical Therapy:WCPT)の下部組織である世界徒手理学療法士連盟(International Federation of Orthopaedic Manipulative Physical Therapists:IFOMPT)1)は,徒手理学療法士(Orthopaedic manipulative physical therapist:OMPT)を神経筋骨格系疾患の患者を治療するための理学療法の専門領域として,クリニカルリーズニングに基づき,徒手的技術や治療手技を用いた高度で特殊な治療であると定義している.そして,理学療法士として登録後もしくは大学の理学療法専攻過程を卒業後に,スポーツ分野も含む整形外科領域において,IFOMPTが規定しているOMPTの厳しく専門的な教育プログラムを終了した理学療法士だけをOMPTとして認めている. この専門的な教育プログラムの内容は,IFOMPTの教育基準文書に掲載されていて,定期的にアップデートが行われている.この教育プログラムは,WCPTにも認められているため,このプログラムを終了することは,世界的にも認められた神経・筋・骨格系の疾患に対する理学療法のスペシャリストであると言える.なお,現在IFOMPTが正式な会員国(MO)と認めている国は世界でまだ22か国であり,準会員国(RIGs)は15か国である. 本稿では,現在の日本におけるOMPTの養成課程と,徒手理学療法の今後の課題について考えていく.
著者
山内 正雄 末廣 忠延 西尾 祐二
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A3P2010, 2009 (Released:2009-04-25)

【はじめに】肩腱板損傷は、理学療法の臨床現場において比較的発生頻度の高い整形外科疾患である.今回我々は、肩腱板損傷にて肩甲上腕関節の関節可動域制限により、著しく日常生活動作に制限をきたした患者に対するManual therapyを経験した.そこで、その経過を報告するとともに、若干の考察を加えて報告する.【症例】45歳、女性.2008年5月頃に、誘因なく肩関節の可動域制限を認めた.放置していたが夜間痛のため背臥位で眠れなくなり、6月に当院を受診し左肩関節周囲炎と診断され、物理療法と理学療法を開始となる.一般的な理学療法を施行していたが、左肩関節可動域の悪化が認められ、肩関節造影により左肩腱板損傷の診断となりManual therapy開始となった.症例には当発表について説明し、同意を得ている.【理学的評価】左肩関節可動域は、屈曲50度、伸展-10度、外転30度、外旋-50度、内旋60度であった.運動の大半は肩鎖関節と胸鎖関節と体幹で行われ、肩甲上腕関節の動きはほとんど認められなかった.ゼロ肢位にすると肩甲骨が下方回旋し内側縁が浮き上がった.左右の肩甲骨を同じ位置に保持すると、肩甲上腕関節は屈曲30度、水平内転50度、内旋60度の位置になった.肩甲上腕関節のJoint playはHypomobile、End feelはLess elastic、Impingement signは陽性、大円筋、肩甲下筋、大胸筋の内旋筋群の短縮と棘上筋と上腕二頭筋に圧痛を認めた.【経過】9月4日よりManual therapyを開始した.当初は週に3回、肩甲骨をベルトで固定し肩甲上腕関節屈曲・外転・伸展に内・外旋を加えた最大可動域でのTraction、大胸筋・上腕二頭筋のマッサージと筋のストレッチを行った.Joint playと関節可動域が少し改善した9月10日から、肩甲上腕関節屈曲・外転・伸展に内・外旋を加えた亜最大可動域でのGride、肩甲骨付着筋のマッサージと筋のストレッチを加えて行った.10月下旬には、結滞と洗髪動作が困難なものの、それ以外の日常生活動作は可能になった.【考察】肩関節周囲炎や肩腱板損傷によって肩関節に可動域制限を生じた場合、肩関節のどの部位で可動域制限があるのかを評価しないで、上腕骨という長い梃子を用いた一般的な徒手的関節可動域訓練や棒体操が多く行われている.しかし、肩関節は肩甲骨・上腕骨・鎖骨等で構成される複合関節であるため、肩甲上腕関節の著しい可動域制限があった場合に、長い梃子を用いて可動域改善訓練を行うと、肩鎖関節の関節包が伸張されHypermobileとなり可動域が改善したようにみえることが少なくない.しかし実際には、肩甲上腕関節の可動域はほとんど改善されていないだけでなく、肩鎖関節が不安定になってしまう.肩甲骨をベルトや楔等でしっかり固定することで、肩鎖関節のHypermobileを予防し肩甲上腕関節だけの動きを改善する必要性があると考える.