著者
山口 あゆみ 大西 一禎 栗山 健一
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.118-126, 2010-06-20 (Released:2012-06-25)
参考文献数
9
被引用文献数
3 3

男性顔面上で「ギラつき」と表現される現象は,一般的に皮脂量の多さに関係すると考えられている。しかし,加齢に伴い皮脂量は徐々に減少することに反し,ギラつきは中高年男性に顕著である。そこで男性顔面の前額部において,ギラつきとさまざまな皮膚特性との相関を解析した。ギラつきに対する重回帰分析を行ったところ,皮脂量で0.490,キメ細かさで—0.370,皮膚色の明度で—0.314の標準偏回帰係数が得られた。皮脂量の要因が最大であったが,他ニ者もギラつきに関与する重要な因子であることが示された。また,画像解析によって得られる前額部の表面反射光および内部反射光の光学的特性値を用いて重回帰分析を行い,ギラつき度予測式を導いた。表面反射光の光学的特性値は,皮膚上に存在する皮脂量とキメの状態によって決定されると推測できた。紫外線対策が不十分な男性特有の生活習慣は,キメの不明瞭化や顔面色の暗化を引き起こし,男性顔面に特徴的な「ギラつき現象」を発生させていると考えられる。ギラつきを低減するには洗顔等による皮脂の除去が基本となるが,スキンケアによる皮膚色やキメの改善も重要であると考えられた。
著者
山口 あゆみ 橋本 公男 松原 薫 蒔田 愛
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.24-30, 2019

<p>顔立ちや表情がその人の印象形成に影響することは当然ながら,われわれは顔の肌質感も印象を決める重要な要素と考えている。今回は,ミドルエイジ男性が年齢は相応でも若々しい印象に見られたい意識があることに着目し,若々しさ印象の要因を探ることを試みた。見た目年齢は「シワ」の評価スコアとの関連が確認できた一方,若々しい印象スコアは,「シミ」,「くすみ」,「血色」の評価スコアと関連することがわかった。さらに視線解析結果より,見た目年齢評価時に比べ若々しい印象評価時に視線滞在時間が最も長かった部位は,肌質が顕著に現れやすいほほの部分であった。モデル乳液を連用すると,肌をよく観察できる条件である近距離でのみ若々しい印象がアップした結果が得られた。若いときと比べて肌の変化が顕著に起こっているミドルエイジ男性にとって,日々のスキンケアは年齢相応でありながら若々しい印象を作り出せる有効な手段であるといえる。</p>