- 著者
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樋口 景介
千葉 雅俊
山口 佳宏
高橋 哲
- 出版者
- 日本口腔顔面痛学会
- 雑誌
- 日本口腔顔面痛学会雑誌 (ISSN:1883308X)
- 巻号頁・発行日
- vol.10, no.1, pp.37-42, 2017 (Released:2019-04-24)
- 参考文献数
- 10
症例の概要:症例は69歳の女性.約1か月前より左眼窩〜側頭部の発作痛を繰り返すようになった.某病院脳神経外科を受診し,頭部CTとMR検査で異常は認められなかったため,歯科疾患と考え,東北大学病院歯科顎口腔外科を初診来院した.発作痛は1日10回程度,2〜3分間の電撃痛(VAS:75)で,診察時に確認できなかったが左眼に流涙を伴うとのことだった.三叉神経・自律神経性頭痛(TACs)を疑い,インドメタシンファルネシル(400mg/日)を7日間投与したが痛みに変化はなかった.発作性片側頭痛を除外し結膜充血および流涙を伴う短時間持続性片側神経痛様頭痛発作(SUNCT),または頭部自律神経症状を伴う短時間持続性片側神経痛様頭痛発作(SUNA)を疑い,当院神経内科を紹介した.神経内科で発作中の左側結膜充血および流涙が確認され,SUNCTと確定診断された.クロナゼパムおよびガバペンチンによる薬物療法を受け,発作痛は改善した.考察:SUNCTは一側性の眼窩部,眼窩上部または側頭部の激痛発作で,同側の結膜充血および流涙を伴うことを特徴とするTACsである.TACsはタイプ診断に,発作痛の持続時間とインドメタシンの有効性を評価することが重要である.TACsなどの頭痛患者は歯科を受診する可能性があるため,一般歯科医でも頭痛の知識が必要と考えられる.特に,口腔顔面痛専門医はTACsを正しくタイプ診断できる必要がある.結論:歯科医も頭痛の知識を持つことが重要であると考える.