著者
山口 佳彦 薄 良彦 引原 隆士
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CAS, 回路とシステム
巻号頁・発行日
vol.113, no.224, pp.13-18, 2013-09-19

本報告では,複数家庭で構成される電力システムの出力平滑化への蓄電池制御の適用について検討する.出力平滑化とは,住宅などの小規模電力システムの商用系統への出力電力を参照値に追従させるための制御技術であり,出力が不確定な小容量分散型電源と従来の商用電源との調和を図る観点やHEMS等の電力マネジメント技術の積極的導入の観点から重要である.本報告では,出力平滑化のための蓄電池充放電指令値の制御アルゴリズムを提案し,その有効性を実際の住宅内の電力システムを用いた実験により検討する.さらに,システムの有効電力応答を記述する数理モデルを導出し,出力有効電力の平均及び分散と制御アルゴリズムのフィードバックゲインとの関係を数値的ならびに理論的に検討する.また,ナイキスト軌跡を用いて閉ループ系の安定余裕について議論することで,出力平滑化を達成するためのフィードバックゲインの設定指針を与える.