著者
森脇 睦子 山名 隼人 今井 志乃ぶ 堀口 裕正 梯 正之 伏見 清秀
出版者
一般社団法人 日本医療・病院管理学会
雑誌
日本医療・病院管理学会誌 (ISSN:1882594X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.139-149, 2017 (Released:2017-08-29)
参考文献数
21

夜間・休日・時間外に外来受診する軽症患者(いわゆるコンビニ受診)により救急医療提供体制に様々な問題が生じている。本研究では,外来レセプトデータと診療録調査により軽症患者識別モデルを開発し,患者数を推計した。国立病院機構に属する2施設の即日入院を除く夜間・休日・時間外受診した外来患者の診療録調査により軽症患者を判定し,レセプトデータを用いてロジスティック回帰分析を行い,3つの識別モデルを作成した。このうち外来レセプトデータのみで推計できる ① 診療区分モデルと ② 診療内容-医療費モデルを使い,国立病院機構に属する200床以上の84病院の即日入院を除く夜間・休日・時間外受診した外来の軽症患者数を推計した。その結果,モデル ① では43.8%,モデル ② では42.8%であり,いずれも,200-299床の施設と500床以上の施設で軽症患者割合に有意差を認めた(Dunnett’s t p=0.01, p<0.01)。適切な救急医療提供のため必要度に応じた受診支援の検討が必要である。