著者
川島直美 堀口裕正 伏見清秀
雑誌
デジタルプラクティス
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.268-275, 2013-07-15

国立病院機構本部診療情報分析部は2010 年度, 診療情報データバンクを整備し, 機構144 の病院から診療データを集め分析を行っている. ここでは収集データの特性と問題点, 分析のためのデータセットの構築に至るまでの各種問題の解決,およびそれらを元に行っている分析を紹介する.
著者
松田 晋哉 藤森 研司 伏見 清秀 石川 ベンジャミン 光一 池田 俊也
出版者
日本ヘルスサポート学会
雑誌
日本ヘルスサポート学会年報 (ISSN:21882924)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.1-10, 2018 (Released:2018-02-22)
参考文献数
10
被引用文献数
1

National Database( NDB)を用いて算出した標準化レセプト比SCR の在宅医療分をデータとして、在宅医療の推進に関連する要因の検討を行った。その結果、在宅医療(居宅)に関連する要因として、往診(.313)、訪問看護指示(.218)、緊急往診(.219)、在宅療養中患者_ 緊急入院受入(.049)、療養病棟入院基本料(-.078)、訪問薬剤指導の実施(.004)が在宅医療(居宅)のSCR に有意に関連していることが示された。この結果は、在宅医療(居宅)を進めるためには、訪問看護や訪問薬剤指導といった在宅のチーム医療提供体制に加えて、緊急往診や在宅療養中患者_ 緊急入院受入といった後方病院の役割が重要であることを示している。
著者
伏見 清秀
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.211-222, 2010-10-29 (Released:2010-10-27)
参考文献数
19
被引用文献数
3 2

限られた医療資源を適切に配置して,医療の質と地域住民のアクセスの確保のバランスのとれた医療提供体制を構築することが求められている。従来は,基本的に二次医療圏で完結する医療が想定されていたが,二次医療圏外の遠方の病院へ入院する患者が相当数いる事が明らかとなり,患者の病院選択に影響を与える要因の分析が必要となっている。本研究では,既存データを活用して,二次医療圏外の病院へ入院する要因を明らかとすることを目的とした。平成20年度の厚生労働省患者調査病院退院票とDPC調査様式1を結合して,患者の病態,詳細な診療明細,入退院経路,患者住所地の情報を含むデータベースを構築し,データの整合性を確認するとともに,二次医療圏外の病院への入院と関連する要因を分析した。患者調査退院票とDPC調査様式1の傷病名情報の整合性は一部の疾患を除いて高かった。二次医療圏外の入院では,ケースミックス係数が低く,ケースミックス補正在院日数は短かった。多変量解析により,高齢者(オッズ比0.762),男性(1.067),救急車の利用(1.064),紹介患者(1.158),転院(1.268),感染症(1.486),眼科(1.276),乳腺外科(1.239),循環器科(1.218),患者数の多い病院(1.571),教育病院(2.318)などが二次医療圏外への入院と関連する主な要因であった。本研究により,患者の病態と病院特性が患者の病院選択に影響を与えることが明らかとなった。専門病院の空間的配置を含む医療連携体制の構築において,考慮する必要があると考えられた。
著者
森脇 睦子 山名 隼人 今井 志乃ぶ 堀口 裕正 梯 正之 伏見 清秀
出版者
一般社団法人 日本医療・病院管理学会
雑誌
日本医療・病院管理学会誌 (ISSN:1882594X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.139-149, 2017 (Released:2017-08-29)
参考文献数
21

夜間・休日・時間外に外来受診する軽症患者(いわゆるコンビニ受診)により救急医療提供体制に様々な問題が生じている。本研究では,外来レセプトデータと診療録調査により軽症患者識別モデルを開発し,患者数を推計した。国立病院機構に属する2施設の即日入院を除く夜間・休日・時間外受診した外来患者の診療録調査により軽症患者を判定し,レセプトデータを用いてロジスティック回帰分析を行い,3つの識別モデルを作成した。このうち外来レセプトデータのみで推計できる ① 診療区分モデルと ② 診療内容-医療費モデルを使い,国立病院機構に属する200床以上の84病院の即日入院を除く夜間・休日・時間外受診した外来の軽症患者数を推計した。その結果,モデル ① では43.8%,モデル ② では42.8%であり,いずれも,200-299床の施設と500床以上の施設で軽症患者割合に有意差を認めた(Dunnett’s t p=0.01, p<0.01)。適切な救急医療提供のため必要度に応じた受診支援の検討が必要である。
著者
鳥羽 三佳代 森脇 睦子 尾林 聡 伏見 清秀
出版者
一般社団法人 日本医療・病院管理学会
雑誌
日本医療・病院管理学会誌 (ISSN:1882594X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.215-222, 2017 (Released:2018-04-13)
参考文献数
25

【緒言】パクリタキセル・カルボプラチン療法(TC療法)薬剤を後発医薬品に変更したところ,婦人科外来化学療法症例において血管外漏出事例が増加し,先発薬への再変更により有害事象が減少した事例を経験したので報告する。【方法】2013年1月~2016年12月に外来TC療法を実施した婦人科症例を対象として診療録の後方視的調査を実施した(第1次先発医薬期:238件,後発薬期:141件,第2次先発薬期:158件)。【結果】血管外漏出発生率は第1次先発薬期:1.3%,後発薬期:9.3%,第2次先発薬期:1.6%と後発薬期に有意に増加していた(P<0.01)。年齢,TC療法回数,BMI,後発薬の有無を調整した多変量解析での後発薬の血管関連合併症のオッズ比は6.8(95%CI:4.1-11.3)であった。【結論】TC療法における後発医薬品使用は血管外漏出,静脈炎などの血管関連合併症を増加させた。