- 著者
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小木曽 加奈子
- 出版者
- 一般社団法人 日本医療・病院管理学会
- 雑誌
- 日本医療・病院管理学会誌 (ISSN:1882594X)
- 巻号頁・発行日
- vol.60, no.1, pp.21-30, 2023-01-31 (Released:2023-01-27)
- 参考文献数
- 28
本研究は,文献を用いてわが国における高齢者に対するトランジショナル・ケア(TC)の概念を概念分析により明らかにすることを目的とした。データベースは,Pub Med,医学中央雑誌web版,メディカルオンライン,CiNii Researchを用い,さらに,ハンドリサーチにて,研究目的に合う書籍2件を加え,最終的に20文献を分析対象とした。Rodgersの概念分析の手法を用いて分析をした結果,6つの属性として【多職種協働のチームケア】,【さまざまな療養の場における同じ方向性をもつケア】,【高齢者と家族のもてる力の活用】,【包括的・統合的なケア】,【高齢者の病状変化に伴うケア】,【高齢者と家族の意思決定支援】。3つの先行要件として,【生活の場を変えなければならないシステム】,【移行先の生活の場の機能】,【TCの範疇】。4つの帰結として,【生活の場での暮らしの継続】,【TCのPDCAサイクル】,【介護負担の軽減】,【高齢者と家族の意向の実現】が抽出された。これらから,本概念は高齢者の多様な病状変化の特徴を反映し,多職種協働による包括的・統合的なケアの要素を含むことが示唆された。