著者
山岡 健
出版者
大阪教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

1. 静岡県浜名郡雄踏町の青年団の創立は、明治43年2月11日である。村立雄踏実業補習学校卒業生と小学校卒業生を中心として、宇布見全体を統括した青年会が組織された。この青年団は昔から活動が活発で、現在(平成10年度)でも8支部ある。スキー教室・敬老会・浜名湖クリーン作戦・納涼祭・町内水泳大会・静岡県青年祭・三嶋神社祭典・町民体育祭・粗大ごみ回収・浜名郡青年学級などの行事を開催したり、参加したりしている。2. 長野県の上久堅村(現材の飯田市)の小野子青年会は、春(4月)と秋(10月)の神社(小野子諏訪社)の祭礼を取り仕切ることが、大事な仕事であった。それで、「祭事青年会」とか「お祭り青年」とも呼ばれた。青年会はステージを造って、男女一緒に芝居や舞踊などの余興をした。その池、盆踊りをしたり、集落の苗代田に消毒して回ったり、桑畑の手入れをしたりした。いわば、地域の奉仕活動をしたのである。3. 「若者組」は、伝統的文化に基礎づけられた独自のシステム特性が見出される。すなわち、若者集団の内部秩序は、「年輩序列」の原理により、厳しく統制されている。4. 「日本型システム」の特性、(1)日本型システムの人間的基盤は、「関係体」としての「間人」という新たな人間モデルに求められる。(2)「間人主義」の価値観は、「相互依存主義」、「相互信頼主義」、「対人関係の本質視」である。(3)日本社会の伝統的な基層をなす社会システムは、「間人」と呼ぶことが適切である「関係体」を成員とし、彼らに全面的な帰属と生活の場を提供する、高度に自律的・自立的な組織である。5. 「間人主義」の価値蜆が、「若者組」のシステム特性と、どのように関わるのか?このことについて、今後、分析・検討しなければならない。