著者
綱島 愛 山岡 利佳 小川 久惠 松本 仲子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.128, 2003 (Released:2004-05-25)

【目的】調理学の教科書には、煮物をする際に使用調味料は分子量の大きさの違いから、サ行の順に入れると良いと書かれていることが多い。しかし家庭調理での実態や、一般に販売されている料理本においては、必ずしも順を追って加えず、一度に加える場合がみられ、この方が初心者には失敗が少なく、楽に調理できると思われる。そこで、調味料を加える順序が、煮物の仕上がりのおいしさにどのような影響を与えるか、検討した。【方法】調味料を加える方法として(1)だしとすべての調味料をはじめに合わせ、沸騰させたところに材料を加える。(2)だしと材料を5分加熱したところに調味料を一度に加える。(3)だしと材料を5分加熱した後調味料を砂糖、塩、醤油、みりんの順に加える、の三方法を、でんぷん質の多い里芋、じゃがいも、かぼちゃ、根菜類の大根、人参、ごぼう、蓮根の7種の野菜を用いて煮物をし、調味料の加え方が仕上がりに及ぼす影響を検討した。実験に際して、調味料の濃度(煮あがりの煮汁の量)、加熱時間、材料の平均化には特に配慮した。検討方法は、官能評価による受容度を中心に、試料への塩分の浸透状態およびテクスチャ-(クリープメーターによる)を測定し比較した。【結果】でんぷん質の多い野菜、根菜類のいずれにおいても(1)、(2)、(3)の調味料を加える順序の違いにおいて、官能評価結果は、総合評価では差がみられなかったが、蓮根、じゃがいもを除く他の試料の味のバランスで、(3)の評価が低かった。塩分の浸透状態については、(3)の方法で試料の内外に差がみられた。