著者
口田 圭吾 八巻 邦次 山岸 敏宏 水間 豊
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.121-128, 1992
被引用文献数
1 1

牛枝肉規格は,牛肉の価値を判断する上で重要な指標となるが,その判定は,スタンダードを基準にしているものの,肉眼的方法により行なわれている,また,脂肪交雑の粒子の大きさおよび形状なども,肉質の判定において重要な要因となっている.本研究では,それらの形質をコンピュータ画像解析により数値化する方法を検討した.また,1975年から1988年までの14年間に実施された,黒毛和種および日本短角種産肉能力間接検定時に撮影されたロース芯断面の写真に対して,開発した方法を適用し,得られた画像解析値に関する遺伝的パラメータを算出し,従来の格付による評価値と画像解析値との比較を行なった.遺伝的パラメータの推定にはHARVEYのLSMLMW(1986)を使用し,要因として年次-検定場,年次-検定場内種雄牛および検定開始時日齢への1次および2次の回帰をとりあげた.黒毛和種および日本短角種のロース芯断面内脂肪割合はそれぞれ7.88%,5.18%であり品種間の有意性が認められた.また,脂肪交雑粒子の大きさを示す面積値および形を表す形状値は両品種で有意差が認められなかった.画像解析で算出したロース芯断面内脂肪割合の遺伝率は黒毛和種が1.09,日本短角種が0.45であった.画像解析で算出した脂肪割合と格付による脂肪交雑評点との間の表型相関は,黒毛和種が0.63と比較的高かったものの,日本短角種では0.14と非常に低い値を示した.このことは,脂肪交雑程度が低い品種に対する肉眼による格付の難しさを示唆しているものと考えた.
著者
内田 宏 山岸 敏宏
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.8, pp.819-825, 1993
被引用文献数
1

黒毛和種の子牛市場成績,繁殖雌牛の体型,肥育成績などの経済形質に対して近親交配がどのような影響をもたらすかを調べた.材料牛は宮城県内の市場に上場された15,142頭の子牛,県内の11の改良組合の改良基礎雌牛(3歳以上)1,042頭および986頭の去勢肥育牛である.子牛では叔姪交配(近交係数6.25%以上)による近親交配が全子牛の16.4%を占めている.また,繁殖雌牛および肥育牛では,近交係数が6.5%以上のものが,それぞれ13.3%と13.4%を占めている.子牛の日齢体重は,近交度が上昇するにつれて小さくなっており,子牛市場上場時の発育形質に,近交退化が認められた.繁殖雌牛における近交係数に対する体測定値の一次回帰係数は,体高を除いた部位がすべて負となり,近交係数の高いものほど体測定値は小さくなる傾向にあったが,かん幅の体高比を除いて有意性は認められなかった.肥育牛の近交係数に対する発育形質の一次回帰係数はすべて負で有意となり,近交度の上昇にともない発育が低下しており,肥育牛の発育形質においても近交退化が認められた.一方,脂肪交雑の近交係数に対する一次回帰係数は正で有意であったが,種雄牛と一次回帰との間に交互作用が見られ,脂肪交雑に及ぼす近交の影響が種雄牛によって異なることが分った.