著者
山崎 重人
出版者
公益社団法人 広島県理学療法士会
雑誌
理学療法の臨床と研究 (ISSN:1880070X)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.25-30, 2016-03-31 (Released:2018-02-16)

2006 年診療報酬改定にて、運動器疾患のリハビリテーション期間が150日を限度とされてはや9年が経過する。理学療法の実施は、自然経過あるいは理学療法士以外の職種が実施した治療と比較して、優位性があるかというエビデンス構築に関する進歩が乏しいように感じている。 手術の技術進歩は実感できるが、理学療法の技術進歩は実感できるか。理学療法が疼痛や拘縮の改善に貢献していることは間違いないが、凍結肩に至るなど反応に温度差があるのも事実である。確かな情報収集力と技術に裏打ちされた「治す」ことへの拘りを専門職として持ち、一症例に丁寧に取り組み、結果を出し続けることが必要であると感じる。その認識と、職種存続のための覚悟を持ち合わせているか。理学療法のかたちは『結果』である。確実に結果を提供しなければならない。
著者
山崎 重人
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.35, 2003 (Released:2004-03-19)

【目的】筋力強化においては、主動作筋を主として強化されることが一般的であるが、筋力発揮には主動作筋がより筋力を効率よく発揮するために固定筋の作用も重要である。そこで今回、筋力強化において、主動作筋だけでなく、固定筋を同時に強化することが関節可動域にどのような影響を及ぼすのかについて検討を行った。【対象】2002年4月現在、当院に通院中の患者で、研究の趣旨に同意が得られた肩に既往がない男性15名、15肩とした。【方法】対象を平均年齢、BMIで同程度に分類し、筋力強化方法で、A群:固定筋と主動作筋の強化群、B群:主動作筋のみの強化群、C群:固定筋のみの強化群の3群に分類した。運動は肩関節90°外転、主動作筋は三角筋(中部線維)、棘上筋、固定筋は僧帽筋(上部線維)と前鋸筋である。筋力強化期間は、8週間。週3回以上の頻度とした。筋力強化前の肩甲棘と上腕角(S-H角)と8週間後のS-H角を分度器で角度測定し、肩甲上腕関節のみの可動域で3群を比較した。ただし患者の同意を得るために、今回X線フィルムでの解析ではなく、リハビリ室で、上半身裸体状態、デジタルカメラ使用での、背面より撮影したフィルムの解析とした。統計処理として、独立した3群の差は、Bartlett testで検定、その後、一元配置分散分析法を用いて、危険率5%で検定した。【結果】筋力強化前のS-H角の平均値は122.2±3.5°であった。筋力強化後のA群(5例)のS-H角の平均値;131±2°。B群(5例)のS-H角の平均値;120±7.2°。C群(5例)のS-H角の平均値;123±4.1°であった。Bartlett testでは、3群の分散は等しく、一元配置分散分析法を用いた。結果、3群間で差を認めたため(p<0.05)、多重比較検定(Fisher's PLSD)により更なる検定を実施し、A群とB群間、A群とC群間において、有意差を認めた(p<0.05)。B群とC群間では有意差を認めなかった。【考察】今回の結果から、A群が、肩関節90°外転運動での肩甲上腕関節の可動域改善に3群間で最も効果を認めた。従って、主動作筋のみならず、固定筋の強化も同時に行うことで、筋力だけでなく可動域改善にもつながることが示唆された。
著者
山崎 重人
出版者
公益社団法人 広島県理学療法士会
雑誌
理学療法の臨床と研究 (ISSN:1880070X)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.25-30, 2016

2006 年診療報酬改定にて、運動器疾患のリハビリテーション期間が150日を限度とされてはや9年が経過する。理学療法の実施は、自然経過あるいは理学療法士以外の職種が実施した治療と比較して、優位性があるかというエビデンス構築に関する進歩が乏しいように感じている。 手術の技術進歩は実感できるが、理学療法の技術進歩は実感できるか。理学療法が疼痛や拘縮の改善に貢献していることは間違いないが、凍結肩に至るなど反応に温度差があるのも事実である。確かな情報収集力と技術に裏打ちされた「治す」ことへの拘りを専門職として持ち、一症例に丁寧に取り組み、結果を出し続けることが必要であると感じる。その認識と、職種存続のための覚悟を持ち合わせているか。理学療法のかたちは『結果』である。確実に結果を提供しなければならない。