著者
山平 聡子 戸羽 正道 岸 和正 岡松 洋
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.57-60, 2006 (Released:2011-11-30)
参考文献数
16
被引用文献数
13 12

多くの抗原は、食事や呼吸に伴い粘膜面を介して体内に侵入することから、粘膜免疫機能を強化することは早期の生体防御の観点から重要である。粘膜免疫における中心的な生体防御因子は分泌型IgAであり、感染防御や抗アレルギーに関与している。本研究では、150株の乳酸菌を用いて、マウスパイエル板(以下、PP)細胞からのIgA産生を指標に、粘膜免疫機能を高める乳酸菌のin vitroスクリーニングを実施した。その結果、発酵食品(発酵茶)を分離源とするLactobacillus plantarum ONRICb 0239およびb 0240に高いIgA産生誘導能を見出した。最も高いIgA産生誘導能を示したb 0240については、マウスに菌体を7~21日間経口投与し、ex vivoにおけるIgA産生への影響を検討した。その結果、b 0240の生菌および死菌の経口投与はPP細胞からのIgA産生を有意に高めた。さらに21日間投与においては血清IgG濃度を高める傾向にあった(P=0.0582)。このように植物由来のb 0240は、ポリオワクチンの例の如く、経口的に粘膜面のIgA産生を誘導し、血中ではIgG産生を刺激することで、体の外(粘膜免疫)と体の内(全身免疫)から生体に作用することが示唆され、“immunobiotics”製品としての開発が期待される。
著者
岸 和正 小谷 吉史 山平 聡子 戸羽 正道 岡松 洋 三原 修一 鶴田 容子 竹原 美沙 赤星 亜朱香 南 久則
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.132-137, 2006 (Released:2011-06-14)
参考文献数
19
被引用文献数
6 10

本研究では植物発酵食品由来の乳酸菌Lactobacillus plantarum ONRIC b0240株(以下L.p.b0240)の21日間継続摂取が健康成人女性の唾液及び糞便総IgA量に及ぼす影響を検討した。被験者は水摂取群(対照)、L.p.b0240(2x109 CFU)摂取群、L.p.b0240(2x1010 CFU)摂取群に割り付けた。唾液総IgA増加量は、2x109 CFU摂取群、2x10l0 CFU摂取群ともに上昇し、21日間摂取では水摂取群に比べ統計学的に有意に高値を示した。糞便総IgA増加量は、個々のばらつきが大きかったために有意差は認められなかったが、2x109 CFU摂取群、2x1010 CFU摂取群はいずれも21日間摂取により高値を示した。なお、被験物摂取による副作用は認められなかった。以上のことから、L.p.b0240の継続摂取は粘膜免疫を高め、生体防御に寄与することが示唆された。