著者
中川 靖枝 岡松 洋 藤井 康弘
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.95-101, 1990
被引用文献数
8 17

ポリデキストロースR (PD) は人の消化酵素により加水分解を受けることの少ない水溶性多糖の一種である。PDの生理作用を調べる目的で青年期女性ボランティア22名にPDを5~10g摂取させ, 排便回数ならびに便通感に及ぼす影響を検討した。試験はラテン方格による交差試験法に準じて実施した。被験者のPD摂取を容易にするためPDは飲料の形態とし, PDをそれぞれ0, 5, 7, 10g/100ml含む飲料を調製した。被験者は同一種類の飲料を毎日1本ずつ5日間連続摂取し, それを4種類の飲料について繰返し行った。試験期間を通し, PD摂取量を除く食物繊維摂取量は8.0gから8.8gまでの値であり, 各試験期間の摂取量に差は認められなかった。PD摂取量の増加に伴い便が柔らかくなり, PD 7gあるいは10g摂取期間時の便の硬度はPD無摂取時に比べ危険率5%で有意に高値を示した。便の硬度はPD摂取量と有意に負の相関 (r=-0.387) を示した。しかし, 便の硬度以外の便通感と排便回数には影響を与えなかった。以上の結果ならびに考察はPDが排便に対する食物繊維様の作用を有していることを示唆した。
著者
山平 聡子 戸羽 正道 岸 和正 岡松 洋
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.57-60, 2006 (Released:2011-11-30)
参考文献数
16
被引用文献数
13 12

多くの抗原は、食事や呼吸に伴い粘膜面を介して体内に侵入することから、粘膜免疫機能を強化することは早期の生体防御の観点から重要である。粘膜免疫における中心的な生体防御因子は分泌型IgAであり、感染防御や抗アレルギーに関与している。本研究では、150株の乳酸菌を用いて、マウスパイエル板(以下、PP)細胞からのIgA産生を指標に、粘膜免疫機能を高める乳酸菌のin vitroスクリーニングを実施した。その結果、発酵食品(発酵茶)を分離源とするLactobacillus plantarum ONRICb 0239およびb 0240に高いIgA産生誘導能を見出した。最も高いIgA産生誘導能を示したb 0240については、マウスに菌体を7~21日間経口投与し、ex vivoにおけるIgA産生への影響を検討した。その結果、b 0240の生菌および死菌の経口投与はPP細胞からのIgA産生を有意に高めた。さらに21日間投与においては血清IgG濃度を高める傾向にあった(P=0.0582)。このように植物由来のb 0240は、ポリオワクチンの例の如く、経口的に粘膜面のIgA産生を誘導し、血中ではIgG産生を刺激することで、体の外(粘膜免疫)と体の内(全身免疫)から生体に作用することが示唆され、“immunobiotics”製品としての開発が期待される。
著者
奥 恒行 岡松 洋 藤井 康弘
出版者
Japanese Association for Dietary Fiber Research
雑誌
日本食物繊維研究会誌 (ISSN:13431994)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.29-35, 2000-07-28 (Released:2010-06-28)
参考文献数
17

We studied the effects of polydextrose (PD) on fecal weight andgastrointestinal transit time by the Latinsquare method in a cross-over fasionusing 9 male beagle dogs. Animals were divided to 3 groups; control group (PD free), PD 2.5% group and PD 5.0% group and fed with each diet for 11 days withthe wash out period of 7 days . Body weight gain, food intake and water intakewere not affected by polydextrose ingestion. The fecal weight was increased significantly in PD 5.0% group in compared with that of the control group. Also, the hardness of feces was softer in the groups fed PD than in the control group. However, the gastrointestinal transit time was not affected significantly by PD ingestion. These results suggest that PD is one of the dietary fibers which improve on defecation and fecal status.
著者
岸 和正 小谷 吉史 山平 聡子 戸羽 正道 岡松 洋 三原 修一 鶴田 容子 竹原 美沙 赤星 亜朱香 南 久則
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.132-137, 2006 (Released:2011-06-14)
参考文献数
19
被引用文献数
6 10

本研究では植物発酵食品由来の乳酸菌Lactobacillus plantarum ONRIC b0240株(以下L.p.b0240)の21日間継続摂取が健康成人女性の唾液及び糞便総IgA量に及ぼす影響を検討した。被験者は水摂取群(対照)、L.p.b0240(2x109 CFU)摂取群、L.p.b0240(2x1010 CFU)摂取群に割り付けた。唾液総IgA増加量は、2x109 CFU摂取群、2x10l0 CFU摂取群ともに上昇し、21日間摂取では水摂取群に比べ統計学的に有意に高値を示した。糞便総IgA増加量は、個々のばらつきが大きかったために有意差は認められなかったが、2x109 CFU摂取群、2x1010 CFU摂取群はいずれも21日間摂取により高値を示した。なお、被験物摂取による副作用は認められなかった。以上のことから、L.p.b0240の継続摂取は粘膜免疫を高め、生体防御に寄与することが示唆された。