著者
山本 一貴
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.59, no.10, pp.943, 2023 (Released:2023-10-01)
参考文献数
4

タンパク質分解誘導剤は,標的タンパク質に結合してその機能を低下させる従来の阻害剤とは異なり,標的タンパク質を化学的にノックダウンすることから,新たな創薬モダリティとして注目されている.Proteolysis targeting chimera(PROTAC)は,分子内にE3リガーゼおよび標的分子への結合部位を有し,強制的に標的タンパク質をユビキチン化することで分解を誘導する.PROTACは,触媒的に働くことも利点の1つであり,低用量化による毒性低減も期待できる.しかし,PROTACの開発においては,標的バインダーの修飾位置やリンカーの長さ・形状の最適化には指針がなく,標的によってオーダーメイドする必要があり,効率化が求められている.今回,ChenらのDNA encoded library(DEL)を用いたPROTAC最適化のアプローチについて紹介する.なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.1) Sakamoto K. M. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 98, 8554-8559(2001).2) Brenner S., Lerner R. A., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 89, 5381-5383(1992).3) Chen Q. et al., ACS Chem. Biol., 18, 25-33 (2023).4) Winter G. E. et al., Science, 348, 1376-1381(2015).