著者
田口 浩 糸賀 裕弥 毛利 公一 山本 哲男 島川 博光
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.958-968, 2007-02-15
被引用文献数
6

本論文では,プログラミング教育において,学習者ひとりひとりの理解状況に応じて演習課題を出題する手法を提案し,それを実際のプログラミング演習科目へ適用した結果を示す.本手法では,豊富に用意された演習課題の中から,過去の他の学習者の演習履歴に基づいて各演習課題の達成度を推測し,各学習者に最適な演習課題を選出して出題する.学習意欲が低い学習者には学習の継続を,学習意欲が高い学習者にはプログラミング能力の向上を優先して出題を行うので,本手法は両者に対して効果的である.本手法を大学でのC 言語プログラミング演習科目に適用した結果,選出された演習課題を解いた学習者の学習継続率が11.3 ポイント向上し,理解をより深めさせることもできた.This paper proposes a method to recommend a C-language programming exercise to each student according to its understanding. The understanding of each student for a specific programming exercise is assumed to be evaluated by a score. For a specific student, a score of a specific programming exercise is inferred, using score histories of himself and other students who addressed the same programming exercise sets in the past. The method selects an appropriate programming exercise to each student, based on the inferred score and the attitude toward the programming. It recommends an easy one to a student loosing motivation, while a tough one to a positive student. The application of the method to an actual university course has proved that students addressing recommended programming exercises are superior to ones rejecting the recommendation in the exercise continuity by 11.3 points, as well as the understanding.
著者
山本 哲男
雑誌
ソフトウェアエンジニアリングシンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.25-33, 2016-08-24

ソースコードを記述していく際,開発者は,効率よくプログラムを作成するために既存のソースコードの再利用やライブラリを活用して開発を行う.そこで,本研究では,既存のソースコードに記述されているメソッド呼び出し文の順序に着目し,メソッド呼び出し文を補完する手法について提案する.本手法では,回帰結合ニューラルネットワーク (recurrent neural netowork) を利用し,次に現れるであろうメソッド呼び出し文を予測する.さらに,提案する手法を実装し,10 プロジェクトのオープンソースソフトウェアを用いて補完候補の精度を計測した.また,回帰結合ニューラルネットワークの様々なパラメータが実験結果にどのように影響するかを調査し,補完候補の精度がどのように変化するかについても実験した.実験の結果,典型的なサンプルソースコードの補完においては,38%の精度で補完候補の一位に必要なメソッド呼び出し文が現れることが確認できた.
著者
山本 哲男 松下 誠 井上 克郎
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.250-260, 2001-05-15
被引用文献数
1

近年,ハードディスクの容量は飛躍的に大きくなり,その値段は急速に低下してきている.ディスク容量が十分に大きければ,不要なファイルを消す必要がなく,変化する全てのバージョンを保存できると考えられる.本論分では,まず自動的に全てのファイルの変更を保存する堆積型ファイルシステムMoraineを提案する.Moraineでは常に最新のバージョンが透過的に操作可能であり,記録されたバージョンを容易に取り出すことが可能である,また,Moraineを用いたソフトウェアメトリクス環境であるMAME(Moraine As a Metrics Environment)を提案する.MAMEはソフトウェア開発に用いることにより,開発の途中あるいは終了時にさまざまなメトリクスデータを収集し分析することを可能にする.