著者
暦本 純一
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.196-210, 1996-05-15
被引用文献数
24

本稿では,ヒューマンインタフェース研究の新しい流れとして注目される,人間の実世界における活動を支援するインタフェース(実世界指向インタフェース)について解説する.まず1節で,実世界指向インタフェースの特徴を解説し,従来型のヒューマンインタフェースとの違いを明らかにする.2節では,現在までに研究開発されているシステムのサーベイを行なう.3節では,実世界指向インタフェースを構成するために必要な要素技術について解説し,最後に4節で,今後の研究課題について議論する.
著者
大和田 茂
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.47-50, 2006-10-26
被引用文献数
3

我々は,形状をゼリーの内部にプリントするゼリープリンターを提案する.このプリンターでは,出力形状が柔らかいゼリーであるために,加工が非常に容易であることが大きな利点としてあげられる.これにより,コンピュータの内部の情報を実世界に取り出し,変形したり加工したり食用にすることが可能となる.さらに,三次元の標高データを出力することもできるので,自由に切ってその断面をみることも可能である.
著者
大岩 元
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.218-227, 1988-07-15

ソフトウェアの生産性が問題となっているが,必ず実効の上がる改善策としてキーボード教育がある.まず英文タイプのブラインド技術はわずか2〜3時間の初期訓練によって獲得できるものであることを示し,続いてタイピング作業の認知モデルを,タイピングCAIプログラムと関連させて述べる.ソフトウェア作成には文書化作業が大きな比重をしめるが,この作業効率を上げるには,下書きせずに技術者が直接ワークステーションで文書作成を実行することが望ましい.これには日本語入力の方法とそれをどのように教育するかが問題となる.そこでまず日本語入力の基本となる,各種カナ入力法について論評を加える.さらに漢字の直接入力法について論じた後,入力法の評価に関する研究をいくつか紹介し,それが非常に困難な問題であることを示す.最後にキーボードと計算機本体の接続を標準化すべきことを指摘する.

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著者
龍田 真
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.360-372, 1991-07-15
被引用文献数
2
著者
五十嵐 悠紀 五十嵐 健夫 鈴木 宏正
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.51-58, 2009-01-27
被引用文献数
1

"あみぐるみ"は毛糸を使って作るぬいぐるみであるが,毛糸の編み方によって形状をデザインしていくため,初心者にはデザインすることが困難である.我々は3次元モデリングプロセスにインタラクティブな物理シミュレーションを組み合わせることであみぐるみを効率的にデザインできるモデラーを作成した.本システムは自動で編み目を計算してあみぐるみモデルをシミュレーション結果として提示するため,初心者にでも直感的にデザインでき,編み図も容易に得ることができる.また,初めてあみぐるみに挑戦する初心者でも製作手順を容易に理解できるようにするために,製作手順を視覚的に提示する製作支援インタフェースも備えた.あみぐるみ初心者でも容易にオリジナルなあみぐるみを作成できることを確認したので報告する.
著者
倉田 昌典 菅沼 明 牛島 和夫
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.373-385, 1989-10-16
被引用文献数
6

日本語文章推敲支援ツール『推敲』は,日本語文章ファイルを解析して,推敲に役立つ情報を書き手に提供することを目的としたツールである.われわれは,まずこれを,大型計算機上に開発した.しかし,大型機には使用上の制約があったり,ユーザーインタフェースが十分でなかったりして,文章作成のような個人的な仕事を大型機上で行うのは快適ではない.そこで,『推敲』の機能の強化やユーザーインタフェース向上,そして利用者層の拡大を期して,これをパソコン上で実現した. 『推敲』では,日本語文章の解析に文法解析や辞書を用いず,字面解析を行うことによって,素早い処理を可能にしている.文法解析をしないでも,推敲に役立つ情報をかなり抽出することができる.パソコン版『推敲』は,処理速度の速さと,ユーザーインタフェース設計の自由度が大型機と比べて大きいことも相まって,実用的なツールとなっている.また,『推敲』のコマンドを構成しているプリミティブな処理単位を,基本コマンドとしてユーザーに開放し,ユーザーがそれらを組み合わせることによって,多様な処理を行えるようにしている.
著者
上村 務 構内 寛文 吉田 幹 大平 剛 Lucassen John M.
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.4-16, 1989-01-13

COB (C with OBject)は著者らが開発しているオブジェクト指向言語である.COBの主眼点は,オブジェクト指向を基本にして,それに近年のプログラミング言語技術で有効性が実証されている主要な手法を結合することにより,プログラム,およびその開発プロセスの質的向上をねらった汎用言語を提供することにある. 本論文では,現在実現されているCOBのオブジェクト指向について説明する.まずCOBの設計方針について述べ,以下,クラス,多重継承,型,そしてクラスのビューについてその基本的な内容を説明する.最後に現時点でのCOBの使用経験について述べる.
著者
住井 英二郎
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.28-38, 2008-04-24
被引用文献数
1

約2000行のMLコードにより実装された,教育目的のコンパイラMinCamlについて議論する.対象言語は値呼び,非純粋,暗な単相型を持つ高階関数型言語である.レイトレーシングを含むいくつかのアプリケーション・プログラムに対し,実行速度においてObjective CamlやGCCとほぼ同等のコードを生成することができた.
著者
増原 英彦 松岡 聡 渡部 卓雄
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.175-192, 1994-05-16
参考文献数
31
被引用文献数
5

並行オブジェクトの間で共有される計算資源の概念をとり入れた自己反映計算モデルであるHybrid Group Architectureと,その記述言語ABCL/R2を提案した.ABCL/R2では,オブジェクト単位の自己反映計算と,オブジェクトグループ単位での自己反映計算の両方が可能なため,スケジューリングのような,並列・分散システムにおける共有計算資源に関する制御を,本来の計算から隠蔽された形をとりつつ,言語の枠内から柔軟に記述できる.また,自己反映システムの効率的な処理系は,作成が困難とされていたが,部分コンパイル・段階的なメタレベル生成・軽量オブジェクトなどの技法による効率的な処理系の作成方法を示した.実際に共有記憶型並列計算機上に作成したABCL/R2処理系では,自己反映計算を行うことによる速度低下を,行わない場合の10倍以下に抑えられ,非自己反映計算の実行速度は,非自己反映処理系とほぼ同等であるというベンチマーク結果を得た.
著者
栗原 秀輔 瀬野 瑛 澤村 一
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.52-59, 2008-10-28
被引用文献数
2

多値議論の論理は不確実な知識を基に不確実な問題に対して議論を可能とする.本論文では,LMAのソーシャルウェブ:SNS,Wikipediaへの応用を述べる.これらは,現在および未来の情報社会に最も影響を与えるであろうソーシャルウェブアプリケーションだと言われている.SNSについては,mixiのマイミクシィへの登録承認をLMAをもとに判断するエージェントを提案する.Wikipediaについては,Wikipediaの削除問題に着目し,LMAをもとにその問題の原因となった記事を削除するべきか否かという問題について議論し,削除依頼による議論の分析を行うエージェントを提案する.
著者
岩間 太 小林 直樹
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.58-64, 2002-03-15

プログラミング言語Javaの仮想機械では,実行前にコードの検証を行い,不正なコードを排除している.しかし,現在の検証器では,並行スレッドによるロックの獲得・解放の整合性に関する検証は行っていない.この問題を解決するため,本研究では,AbadiとStataによるバイトコード検証のため型システムを改良する.新しい型システムでは,各オブジェクトのロックが獲得・解放される順序の情報をオブジェクトの型に付加することにより,ロックの正しい使用を保証する.