著者
山本 悌司
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.92, no.8, pp.1467-1471, 2003-08-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

薬物性パーキンソニズムはdopamine受容体阻害作用を有する薬物を使用した場合,高齢者,長期・大量服用者に出現しやすい.臨床症状はパーキンソン病と厳密に区別はできないので,それら責任薬物服用を証明することが重要である.左右対称性の運動障害,静止時振戦を欠く場合,口,舌部のジスキネジアを伴うなどの時は本症を疑う必要がある.服用中止ですみやかに症状が消失するが,数カ月を要する場合もあり,まれに永続的になる.抗コリン薬,アマンタジン, Lドーパ製剤の投与で臨床症候は改善する.中枢神経作動薬としての認識がない薬剤,たとえば胃腸運動機能調整薬長期服用者に本疾患が多いことを記憶する必要がある.