著者
辻井 重男 山口 浩 五太子 政史 角尾 幸保 井堀 幹夫 山本 拓真
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.363, pp.19-24, 2011-12-10

先ず,電子行政を,精神構造,社会システム,技術システムの3階層として捉え,各々の階層について概説した後,現在,内閣官房を中心に政府で検討が進められている情報連携基盤について技術システムの立場から考察する.情報連携基盤は,認証機能,番号機能,情報連携機能の3機能を有するが,認証機能については,公的個人認証などの実績があるので,これらを利用すれば良く,番号機能については,個人情報保護を中心に政府で議論が深められている.しかし,情報連携機能については,考察が進んでいないように見受けられる.情報連携基盤の大きな目的は,個人情報を最大限保護しつつ,これを国民のために活用することにある.本論文では,暗号技術などの利用により,個人情報の保護と活用の間の矛盾を可能な限り超克し得る技術システムの構成法を提案する.