著者
原田 修 桑田 実 山本 統平
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.261-265, 2007-06-15 (Released:2007-10-04)
参考文献数
13
被引用文献数
3 8

開発した高圧熱水抽出装置を用いてイワシ鱗からゼラチンの抽出を行い,ゼラチンの抽出挙動および抽出ゼラチンの性状について検討した.本方法による抽出では抽出管のフィルターに目詰まりは認められず安定した抽出を水だけで行うことができた.抽出管出口温度が温度領域143-153℃以上において加水分解反応が顕著になり,抽出管入口温度225℃ 8分間(抽出管出口温度156-202℃)の抽出でほとんどのイワシ鱗コラーゲンが溶出することが分かった.抽出物中のタンパク質はほぼゼラチンであり,数パーセントのアパタイトと考えられる灰分が含まれていた.またアミノ酸の顕著な熱分解は認められなかった.抽出されたゼラチンの分子量はGPC曲線のピーク地点で443kDa付近から6.5kDa付近となっており,抽出温度が高くなるほど低くなった.入口温度225℃で400-1000mLの画分では,分子量分布の狭いペプチド領域のゼラチンが得られた.
著者
山本 統平 山本 忠弘 山元 俊文 広田 正義
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌
巻号頁・発行日
vol.1980, no.4, pp.618-624, 1980
被引用文献数
2

α,α&prime;-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)およびα,α&prime;-アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル(ACN)を用いてメタクリル酸メチル(MMA)の熱および光増感重合を行なった。熱重合速度(<i>R</i><sub>pth</sub>)は,1,1,1-トリクロロエタン < トルエン < ベンゼン < エチルベンゼン < 1,2-ジクロロエタン < クロロベンゼン < アニソール < ブロモベンゼン < <i>o</i>-ジグロロベンゼン < ベンゾニトリル < 1,2,4-トリクロロベンゼン < 1,1,2,2-テトラクロロエタン < ベンジルアルコールの溶媒の順に増大した。重合開始速度(<i>R</i>i)は溶媒によりあまり変化しなかったのに対し,2<i>k</i><sub>t</sub>/<i>k</i><sub>p</sub><sup>2</sup>値が大きく変化した。<i>R</i><sub>pth</sub>と光増感重合速度(<i>R</i><sub>pph</sub>)の間には比例関係があった。回転セクター法によりラジカル寿命(τ)をもとめ2<i>k</i><sub>t</sub>/<i>k</i><sub>p</sub>値を算出した。2<i>k</i><sub>t</sub>/<i>k</i><sub>p</sub><sup>2</sup>と2<i>k</i><sub>t</sub>/<i>k</i><sub>p</sub>の値から2<i>k</i><sub>t</sub>と<i>k</i><sub>p</sub>の値を算出した。<i>k</i><sub>p</sub>は溶媒の種類によりわずかに変化したが,<i>R</i><sub>p</sub>の変化に比して小さいものであった。一方,2<i>k</i><sub>t</sub>は重合系の粘度に反比例的に変化し,この変化により<i>R</i><sub>p</sub>の変化が生じることがわかった。