著者
諸頭 三郎 山崎 博司 内藤 泰 眞鍋 朋子 山本 輪子 藤原 敬三 篠原 尚吾
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.68-76, 2012 (Released:2012-03-28)
参考文献数
23

当科で人工内耳手術を行った小児内耳奇形例11例をSennaroglu分類による奇形の型と人工内耳使用マップ, 術前聴力と術後人工内耳装用域値, 術前後の語音聴取や言語発達の成績, 発話明瞭度との関連を評価し, この分類法の臨床的妥当性について検討した。内耳奇形の内訳は2例がcommon cavity (CC), 2例がincomplete partition type I (IP-I), 5例がincomplete partition type II (IP-II), 1例がcochleovestibular hypoplasiaとcochlear nerve deficiencyの合併例 (CVH/CND), 1例が内耳道狭窄とCNDの合併例であった。11例中8例において人工内耳で音感を得るのに通常より大きな電荷量を必要とした。嚢胞状の蝸牛を呈するCCとIP-Iの4例中2例は術後語音聴取成績, 言語発達は良好であったが2例は不良でばらつきがあった。IP-II5例はすべての検討項目で術後成績が良好で言語メディアに聴覚-音声を使用していた。CND合併例2例は術後も語音聴取や言語発達の成績が不良で視覚言語の併用を必要とした。IP-IとIP-IIを峻別するSennaroglu分類とMRIによる蝸牛神経の評価の臨床的意義が確認された。