- 著者
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山本 順寛
- 出版者
- 公益社団法人 日本油化学会
- 雑誌
- オレオサイエンス (ISSN:13458949)
- 巻号頁・発行日
- vol.1, no.5, pp.503-508,469, 2001-05-01 (Released:2013-04-25)
- 参考文献数
- 17
- 被引用文献数
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脂質酸化反応の新展開についてまとめた。生体成分中で最も酸化されやすいのは高度不飽和脂肪酸を含む脂質である。高度不飽和脂肪酸の酸化はフリーラジカル連鎖酸化を受け, 一つのラジカルが数百の脂質ヒドロペルオキシドの生成をもたらす。アラキドン酸の酸化ではイソプロスタンを含む多数の酸素が付加した生成物が出来る。有機溶媒中の高度不飽和脂肪酸の酸化反応性は, 含まれるビスアリル水素の数に比例するが, 水溶性ミセル系では逆になる。基質減少量に対する酸素消費量の比をみると不飽和度が増すにつれて1から3.4へと増加するので, ドコサヘキサエン酸由来のペルオキシルラジカルはリノール酸由来のペルオキシルラジカルよりも極性が高いと考えられる。ミセル核の中に位置するブチルヒドロキシルトルエンの減少速度は不飽和度が増すにつれて低下した。したがって, より高度の不飽和脂肪酸由来のペルオキシルラジカルはミセル表面に拡散し, 結果としてフリーラジカル酸化の停止反応が亢進し, 成長反応が抑制され, 酸化反応性が低くなる。筆者らは分析操作中のアーチファクト酸化のない信頼できる, ヒト血漿中のコレステロールリノレートのヒドロ (ペルオ) キシドの立体異性体の測定法を開発した。健常人の血漿から全てのコレステロールリノレートヒドロ (ペルオ) キシドの立体異性体が検出できた。したがって, フリーラジカル連鎖酸素酸化が確実に健常人でも進行していることが明らかになった。