著者
山根 伸吾 青野 颯希
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.88-94, 2020-02-15 (Released:2020-02-15)
参考文献数
5

回復期リハビリテーション病棟にて,調理にデマンドを述べた脳卒中患者に,AMPSとACQ-OPの結果に基づき,調理練習を継続的に実施した.週に1回の頻度で,クライエント(以下,CL)と共に,メニューと目標をそのつど設定して取り組んだ.その結果,AMPSのADL運動能力測定値は0.7 logits,ADLプロセス能力測定値は0.2 logits,ACQ-OP測定値は0.6 logits改善した.両評価を用いることで,作業遂行上の問題をCLと共有しやすくなり,継続的に目標に反映させた介入を展開することに役立った.AMPSとACQ-OPを作業療法プロセスに取り入れることによる効果を検証するために,さらなる事例の蓄積が望まれる.
著者
那須 識徳 山根 伸吾 小林 隆司
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.532-540, 2022-05-18 (Released:2022-07-04)
参考文献数
18
被引用文献数
1

目的:高齢になり運転などの移動手段を変更する必要がある場合に,個人の感情面や態度の準備状況を把握するための自記式質問紙としてAssessment of Readiness for Mobility Transition(ARMT)がある.本研究ではARMT日本語版(ARMT-J)の言語的妥当性を検証することを目的とした.方法:「尺度翻訳に関する基本指針」を参考にして「順翻訳,調整,逆翻訳,逆翻訳のレビュー,認知的デブリーフィング,認知的デブリーフィングのレビュー,校正,最終報告」を実施した.順翻訳と調整は国内の作業療法士3名が行い,逆翻訳は翻訳会社に依頼した.逆翻訳のレビューと認知的デブリーフィングのレビューは開発責任者に依頼し,認知的デブリーフィングは地域在住高齢者5名を対象に行った.結果:順翻訳では5項目,逆翻訳のレビューでは3項目で意見の相違が確認された.特に項目11の原文である「Moving to a retirement community is too restrictive for my desired mobility.」の中の「retirement community」は日本では普及しておらず,翻訳者間で日本語訳に相違を認めた.海外では「retirement community」は高齢者のための居住地域または建物と定義されており,翻訳にかかわった作業療法士3名と開発責任者にて協議のうえ,日本語訳は「高齢者のための住宅」とした.さらに,開発責任者に確認を行い,加齢のため移動手段を変更せざるを得ない場合,居住地域を変更する必要があるという意味が含まれているという補足文書をつけ,ARMT-Jを完成させた.結論:本研究ではARMT-Jの言語的妥当性を検討し,妥当と思われる日本語訳を作成した.
著者
那須 識徳 山根 伸吾 小林 隆司
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
pp.21029, (Released:2022-05-16)
参考文献数
18
被引用文献数
1

目的:高齢になり運転などの移動手段を変更する必要がある場合に,個人の感情面や態度の準備状況を把握するための自記式質問紙としてAssessment of Readiness for Mobility Transition(ARMT)がある.本研究ではARMT日本語版(ARMT-J)の言語的妥当性を検証することを目的とした.方法:「尺度翻訳に関する基本指針」を参考にして「順翻訳,調整,逆翻訳,逆翻訳のレビュー,認知的デブリーフィング,認知的デブリーフィングのレビュー,校正,最終報告」を実施した.順翻訳と調整は国内の作業療法士3名が行い,逆翻訳は翻訳会社に依頼した.逆翻訳のレビューと認知的デブリーフィングのレビューは開発責任者に依頼し,認知的デブリーフィングは地域在住高齢者5名を対象に行った.結果:順翻訳では5項目,逆翻訳のレビューでは3項目で意見の相違が確認された.特に項目11の原文である「Moving to a retirement community is too restrictive for my desired mobility.」の中の「retirement community」は日本では普及しておらず,翻訳者間で日本語訳に相違を認めた.海外では「retirement community」は高齢者のための居住地域または建物と定義されており,翻訳にかかわった作業療法士3名と開発責任者にて協議のうえ,日本語訳は「高齢者のための住宅」とした.さらに,開発責任者に確認を行い,加齢のため移動手段を変更せざるを得ない場合,居住地域を変更する必要があるという意味が含まれているという補足文書をつけ,ARMT-Jを完成させた.結論:本研究ではARMT-Jの言語的妥当性を検討し,妥当と思われる日本語訳を作成した.
著者
上杉 治 山根 伸吾
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.335-343, 2019-06-15 (Released:2019-06-15)
参考文献数
8

本報告の目的は,難渋する高次脳機能障害をもつ事例に対して行った介入のリーズニング過程を構造化し,介入方法の一助とすることである.事例は,左中大脳動脈梗塞後,多彩な高次脳機能障害を呈し,入浴や更衣,家事といった生活障害があった.介入では,本人,家族に面接を行い,Mattinglyの指摘する叙述的リーズニングの視点から捉え,本人,家族の価値を重要視した.また,介入方法を考察する際には,同じくMattinglyの科学的リーズニングの側面から捉えた.結果,事例は更衣,入浴,家事の一部を獲得した.