著者
山田 一之
出版者
静岡産業大学経営研究センター
雑誌
環境と経営 : 静岡産業大学論集 = Environment and management : Journal of Shizuoka Sangyo University (ISSN:13415174)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.93-101, 2020-12

令和2年は春先からの新型コロナウイルス感染拡大によって新学期の開始が遅れ、学生は4月から5月上旬にかけてほぼ1か月間自宅待機を余儀なくされた。予期せぬ長期の臨時休業は、学生に大きな心理的負担を与えたと考えられる。そこで、自宅待機中の学生の生活・学修および心理状態について検討するために、5月上旬の新学期始業時に、自宅待機の1か月間の学生の過ごし方についてアンケート調査を行った。その結果、半数以上の学生が自宅待機期間を休みであると考えていた一方、規則正しい生活を送っており、健康状態も比較的良好であったことが明らかにされた。また、自宅待機中の学修態度に関しては、半数以上が自主的な学習を行っていたが、同様に半数以上の学生が遠隔学習の開始について不安を抱えていた。自宅待機中の心理状態に関しては、退屈であった、人と会えなくて寂しかった、不安であったなど、未知の体験によるストレス状態に置かれた学生が多かったことが明らかにされた。本研究の結果は、本格的な遠隔学習導入の際の学生対応について示唆を与えるものであると同時に、長期間の自宅待機を経験した学生の学修およびこころのケアのための基礎資料となると考えられる。