著者
道脇 幸博 ⻆ 保徳
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.366-368, 2014-04-01 (Released:2014-04-10)
参考文献数
5

誤嚥性肺炎予防の社会的意義を明らかにするために,70 歳以上の高齢者のうち誤嚥性肺炎で入院している患者総数と国民医療費をもとめた。肺炎による入院患者総数は,平成 23 年度に厚生労働省が行った全病院・診療所に関する悉皆調査からの実数とした。70 歳以上の入院肺炎のなかで高齢者の占める割合と高齢者の肺炎のうち誤嚥性肺炎の割合は,文献値を採用した。また肺炎による入院費用は,都内の三次救急病院の平成 23 年度の入院費用を代表値とした。 その結果,70 歳以上の高齢者では毎日 2 万人が誤嚥性肺炎で入院しており,年間の入院費用は約 4,450 億円と推計され,医療費用の観点で誤嚥性肺炎予防の社会的な意義が示された。
著者
眞木 吉信
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.422-425, 2018-03-31 (Released:2018-04-23)
参考文献数
8
著者
梶原 美恵子 松山 美和 守谷 恵未 角 保徳
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.494-502, 2020-03-31 (Released:2020-04-17)
参考文献数
22

目的:非経口摂取高齢入院患者を対象に「水を使わない口腔ケアシステム」を実施し,口腔細菌数の変化を検証することを目的とした。 方法:非経口摂取高齢入院患者100名を,「水を使わない口腔ケアシステム」(以下,新法)と従来の口腔衛生管理(以下,従来法)の2群に無作為に分け,1日1回連続5日間,歯科衛生士が口腔衛生管理を実施した。1日目の管理直前(以下,ベースライン),管理直後,1時間後と5日目の管理1時間後の計4回,口腔細菌数を測定した。測定値を対数変換して,二元配置分散分析を行った。有意水準は5%とした。 さらにベースラインで細菌数レベル4以上を口腔不潔者とし,5日目に細菌数レベル3以下になった者を「改善あり」,4以上の者を「改善なし」として,χ2検定を行った。 なお本研究は,特定医療法人北九州病院倫理委員会の承認を得て実施した(第15-3号)。 結果:ベースラインと管理直後においては,新法群と従来法群の口腔細菌数に有意差はなく,管理1時間後と5日目においては新法群の細菌数は従来法群よりも有意に低値であった。新法群は,ベースラインと比べて管理直後,1時間後および5日目の細菌数は有意に低下し,管理直後よりも5日目は有意に低下した。従来法群は,ベースラインと比べて管理直後および管理1時間後の細菌数は有意に低下した。また,口腔不潔者のうち,新法群では29名に改善がみられ,従来法群の7名よりも有意に多かった。 結論:本研究における口腔細菌数の変化の結果から,「水を使わない口腔ケアシステム」は従来の方法よりも効果的である可能性が示された。
著者
中屋 豊
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.331-336, 2016-12-31 (Released:2017-01-24)
参考文献数
16

高齢者は,老化に伴い筋肉が減少しサルコペニアといわれる状態になりやすく,また種々の機能低下をきたしフレイルに陥りやすい。特に歯科領域では嚥下機能低下,味覚・嗅覚の低下,歯を含めた口腔機能低下などのために食事摂取量が減り,そのうえに他の疾患の合併なども加わり,栄養不良を示す患者が多い。また,逆に栄養不良は嚥下障害を含めた口腔機能の低下をきたすという悪循環に陥る(フレイルサイクル)。高齢者のフレイルでは認知症や転倒などの頻度が高くなり,寝たきりの原因になる可能性が高い。フレイルによる悪循環を断ち切るためにも歯科の役割は大きい。
著者
森野 智子 戸畑 温子 溝口 奈菜
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.366-372, 2018-12-31 (Released:2019-01-31)
参考文献数
23

口腔機能の低下を防止することにより,身体フレイル予防効果が期待されている。しかし口腔機能向上訓練は単調であるうえ評価が困難であり,その継続には支援が必要である。そこで,美味しく楽しく医療費のかからない訓練飴を口腔機能向上訓練へ適用することを考え,健常者を対象に飴舐め訓練の口腔機能向上効果を検証するパイロットスタディを実施した。 研究対象は協力企業社員50歳以上男性職員30人で,はじめに基礎情報と口腔状況を調査した。口腔状況調査項目は,口腔不潔,口腔乾燥,舌口唇運動機能低下,低舌圧,嚥下機能低下である。被験者中から無作為に選んだ15人(介入群)に2週間介入を実施した。介入方法は毎日1本の飴舐め訓練である。被験者介入群への飴舐め訓練指導は,歯科衛生士が著者らの提案した飴舐め法を紙面で示し,実際に舐めてもらう個別指導形式で実施した。残り15人(対照群)には通常どおりの生活を送ってもらい,2週間後両群の口腔状況を調べた。二元配置分散分析の結果,実験条件(介入群と対照群)と測定時期(介入前と介入2週間後)に交互作用はなく,介入群と対照群に有意な差が認められたのは舌圧であった(F=6.510,p=0.01)。介入前舌圧値がこれまで報告されている低舌圧の基準値より高かったにもかかわらず,飴舐め訓練で短期間に機能向上が得られたことは注目に値する。舌圧の維持改善は,咀嚼,嚥下,コミュニケーションに重要であることから,訓練飴を用いた口腔機能訓練で舌圧が維持改善されることは,全身の健康に寄与することが期待できると考える。
著者
本川 佳子
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.81-85, 2019-06-30 (Released:2019-07-24)
参考文献数
22
著者
須佐 千明 三串 伸哉 尾崎 研一郎 村田 志乃 鈴木 瑠璃子 高島 真穂 梅田 慈子 柴野 荘一 中根 綾子 植松 宏
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.91-95, 2011 (Released:2012-01-20)
参考文献数
12

定型抗精神病薬の長期服用によって, オーラルジスキネジアが発現することが知られている。オーラルジスキネジアは口腔領域に認められる不随意運動であり, 難治性である場合が多い。今回, われわれは咀嚼時のみにジスキネジアを生じた症例を経験したので報告する。患者は64歳の女性で, 舌の不随意運動による咀嚼困難を主訴に来院した。既往歴として, うつ病があり10年以上抗精神病薬を服用していた。咀嚼ができないため食事摂取量が減少し, 体重が減少していた。他院にて遅発性ジスキネジアと診断され薬物治療が行われていた。当科初診時の評価では, 安静時および舌の随意運動時にジスキネジアは出現せず, 水分など咀嚼を伴わない食塊の嚥下は正常であった。一方, 固形物は咀嚼中に口腔周囲および舌にジスキネジアが出現し, 食塊形成が困難であった。そこで栄養摂取量を確保するために食事摂取方法の指導を行った。神経内科にて薬物治療を継続しながら, 機能訓練としてガム咀嚼の訓練を指導したが, 明らかな症状改善を認めなかった。しかし初診から5カ月後, ハロペリドールの内服開始直後にジスキネジアが消失し, 常食摂取可能となり体重増加を認めた。本症例では, ジスキネジアが咀嚼時のみに出現した点で希有な症例であった。ジスキネジアによる摂食·嚥下障害を生じ, また治療に長期間を要したことから, 機能状態に応じた食事摂取方法の指導を行うことが重要であった。
著者
松尾 浩一郎 谷口 裕重 中川 量晴 金澤 学 古屋 純一 津賀 一弘 池邉 一典 上田 貴之 田村 文誉 永尾 寛 山本 健 櫻井 薫 水口 俊介
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.123-133, 2016-09-30 (Released:2016-10-22)
参考文献数
40
被引用文献数
1

目的:高齢者では,加齢だけでなく,疾患や障害などさまざまな要因によって,口腔機能が低下する。経口栄養摂取のためには,口腔機能の維持は重要な因子と考えられるが,口腔機能低下と栄養状態との関連性についてはまだ不明な点が多い。そこで,本研究では,全身疾患を有する入院高齢患者における口腔機能低下と低栄養との関連性を明らかにすることを目的とした。 方法:対象は,2015年10月から2016年2月までに藤田保健衛生大学病院歯科を受診した入院中の患者とした。対象者の口腔機能,口腔衛生に関する項目および栄養と全身状態に関する項目を調査した。Mini Nutritional Assessment-Short Form(MNA-SF)を用いて,栄養状態を正常群と低栄養群の2群に分類し,口腔と全身の評価項目が栄養状態と年齢で相違があるか検討した。 結果:口腔衛生,多くの口腔機能の項目で,低栄養群で有意な低値を示した。特に筋力系の項目で顕著であった。一方,高齢群においても,若年群と比して多くの口腔機能の項目が低値を示した。また,QOLやADLは,低栄養者および後期高齢群において有意な低下を認めた。 結論:入院高齢患者の低栄養は,多くの口腔機能の低下と関連していた。本結果から,栄養を指標として口腔機能低下を評価することの意義が示唆された。また,入院患者の良好な栄養状態を維持するためには,入院前からの適切な口腔管理により口腔機能が維持されることが重要であると考える。
著者
葛谷 雅文
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.119-123, 2005-09-30 (Released:2014-02-26)
参考文献数
8
被引用文献数
2
著者
松香 芳三 笈田 育尚 熊田 愛 縄稚 久美子 西山 憲行 菊谷 武 窪木 拓男
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.91-96, 2009 (Released:2010-10-19)
参考文献数
23
被引用文献数
1

摂食・嚥下機能が低下している高齢患者において, 胃瘻を造設することにより胃腸の機能を残存させながら栄養管理が可能となる。しかしながら, 胃瘻には種々の問題点が存在するため, 胃瘻の早期脱却を目標にして, リハビリテーションを実施するべきである。今回, 胃瘻造設を行ったが, 家族の介護ならびに義歯作製によって経口摂取が可能となり, 胃瘻脱却が可能になった症例を経験したので報告する。患者は脳梗塞, 老年性認知症を原疾患として有していた82歳女性であり, 認知症のために, 自発的な摂食行動はみられず, 食物を口腔内に溜め込み, 嚥下運動に移行しにくい状況であった。摂食・嚥下機能の回復が十分に認められたため, 胃瘻造設術が実施された。また, 同時期に旧義歯の適合不良のため, 家族から義歯作製を依頼され, 全部床義歯を作製した。義歯作製により, 家族の食介護に対するモチベーションが向上し, 積極的に経口摂取を進めるようになった。その結果, 全量経口摂取することが可能となり, 胃瘻から脱却することが可能となった。観察期間を通して, 血清アルブミン値の大きな変化はみられなかったが, 義歯装着後には体重増加が観察され, 胃瘻脱却後も体重は維持されていた。その後, 摂食・嚥下に対する直接訓練が効を奏し, 自分で摂食する場面も観察されるようになった。
著者
道脇 幸博 愛甲 勝哉 井上 美喜子 西田 佳史 角 保徳
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.453-459, 2012-03-31 (Released:2012-06-15)
参考文献数
18

窒息事故は交通事故による死亡者数に匹敵する数に増加しているが,事故予防に関する社会的な関心は高くない。そこで,現状把握と今後の症例集積のために,窒息事故の半数を占める食品による窒息例 107 例について,発症要因を分析し,医療費用を算出した。その結果,年齢では高齢者に多く,性差はなかった。既往歴では認知症や脳梗塞,統合失調症など中枢神経系の疾患をもっている方が多かった。発生時間は食事中が多く,場所は家庭や施設などであった。事故前の ADL や食事の自立度,食事形態では,自立者で普通食を食べていた方が半数を占めた。窒息の原因となった食品の種類はさまざまで,固形物であれば窒息の原因となりうると思われた。転帰では,62 例(58%)が死亡していた。入院費用は約 60 万円であった。本研究から,窒息事故に対する社会的な予防策の必要性が改めて示され,そのためには症例のデータベース化が有用であると考えられた。
著者
奥山 秀樹 三上 隆浩 木村 年秀 占部 秀徳 高橋 徳昭 岡林 志伸 平野 浩彦 菊谷 武 大野 慎也 若狭 宏嗣 合羅 佳奈子 熊倉 彩乃 石山 寿子 植田 耕一郎
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.352-360, 2014-04-01 (Released:2014-04-10)
参考文献数
12

摂食機能障害において,全国で 26 万人と推定されている胃瘻造設者は最近の 10 年間に急速に増加してきた。胃瘻については,その有効性,トラブル,および予後等に類する報告が今までにされているが,対象者は,胃瘻を管理する医療施設や高齢者施設に軸足が置かれており,実際に胃瘻を造設した術者や,患者側の視点での調査はほとんど行われていない。 そこで今回,医療施設,高齢者施設に加えて,胃瘻を造設した医療施設と在宅胃瘻管理者(家族)とを対象にして,胃瘻に関する実態を調査し,課題の抽出,胃瘻を有効な手段とするための要因等について検討を行った。調査対象は国民健康保険診療協議会(国診協)の直診施設(国保直診施設)全数の 833 件,国保直診の併設および関連介護保険施設(介護保険施設)の 138 件,および国保直診票の対象施設において入院中もしくは在宅療養中の胃瘻造設者の家族 485 件である。 その結果,国保直診施設において胃瘻造設術件数は「減っている」が 53.1%であり,過去 3 年間に減少傾向にあるものの,介護保険施設では「減っている」が 20.3%であり,胃瘻造設を実施する側と,それを受け入れる側とに差を生じた。患者側の胃瘻に対する満足度は,造設前に胃瘻の長所,短所の説明があり,それも医師以外の職種からも説明を受け,自宅療養であること,また結果的に造設後 3 年以上経過しているといったことが,満足する要因になっていた。
著者
玉田 泰嗣 古屋 純一 鈴木 啓之 小野寺 彰平 山本 尚德 佐藤 友秀 野村 太郎 近藤 尚知
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.503-509, 2020-03-31 (Released:2020-04-17)
参考文献数
18

摂食嚥下リハビリテーションは,慢性期のみならず急性期病院入院中の早期から行うことも重要である。歯科においても,特に有床義歯に対する歯科補綴学的対応は歯科医師に限定されているため,他職種からの期待も大きい。しかし,摂食嚥下障害を有する急性期病院入院患者における有床義歯の使用状況については,十分には明確になっていない。そこで本研究では,摂食嚥下障害と診断され歯科に依頼のあった急性期病院入院患者627名(平均年齢71.0歳)を対象として,有床義歯の使用状況について調査を行った。患者の多くは脳血管障害や頭頸部癌を有する高齢者で,多数歯欠損であるEichner分類B3~C3の割合が全体の約60%を占めていた。有床義歯に対する歯科補綴処置の必要性は医科の認識よりも実際には高く,全身と口腔の状態から歯科医師が,有床義歯装着が必要と判断した患者は全体の約70%だった。しかし,実際に義歯を使用している患者は全体の約25%であった。また,摂食嚥下障害臨床的重症度分類(Dysphagia Severity Scale:DSS)が低い患者ほど義歯を装着していないことが多いが,誤嚥を認めないDSS 5,6の患者においても,義歯が必要だが使用していない患者を約35%認めた。以上より,摂食嚥下障害を有する急性期病院入院患者においては,有床義歯に対する歯科補綴学的対応が重要であることが示唆された。
著者
恒石 美登里 山本 龍生 石井 拓男 佐藤 保 山口 武之 牧野 利彦
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.349-356, 2017-12-31 (Released:2018-01-25)
参考文献数
22
被引用文献数
1

レセプト情報・特定健診等情報データベースを用いて,高齢者における現在歯数および欠損歯数と誤嚥性肺炎による医科受診との関連を検討した。 2013年4月分の歯科の診療報酬明細書データに誤嚥性肺炎病名および医科点数のデータを結合し,65歳以上の歯周炎病名および欠損歯病名を有する1,662,158名および356,662名を対象とした。歯周炎病名の歯式から現在歯数,欠損歯病名の歯式から欠損歯数を算出して3群に分け,誤嚥性肺炎による医科受診の有無との関連を検討した。 誤嚥性肺炎の割合は,現在歯数が20~32,10~19および1~9の者でそれぞれ0.08,0.14および0.25%であった。また,欠損歯数が1~14,15~27および28~32の者ではそれぞれ0.09,0.18および0.43%であった。誤嚥性肺炎の有無を目的変数として性と年齢を調整したロジスティック回帰モデルにおいて,現在歯数が20~32の者を基準とした10~19および1~9の者のオッズ比はそれぞれ1.20および1.53で有意に高かった。また,欠損歯数が1~14を基準とした,15~27および28~32の者のオッズ比はそれぞれ1.67および3.14と有意に高かった。 歯周炎病名および欠損歯病名で歯科を受診した高齢者において,現在歯数の少ない者ほど,欠損歯数の多い者ほど医科医療機関で誤嚥性肺炎の治療を受けていたことが明らかとなった。
著者
市原 雅也 依田 知久 小泉 貴子 斉藤 美香 平野 浩彦 山口 雅庸
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.104-109, 2004-09-30 (Released:2014-02-26)
参考文献数
12

特発性血小板減少性紫斑病 (ITP) は血小板が減少する後天性疾患であり, ITPの患者において口腔症状が頻繁に観察される。本来ITP治療の第一選択は副腎皮質ステロイド療法であり, ついで摘脾, 免疫抑制療法の順序である。そのほかに標準的な治療に反応しない, いわゆる難治例では免疫グロブリン大量静注療法 (IVIg療法) などが適用される。また最近, H.pylori陽性ITP症例における除菌療法の有効性が注目され厚生労働省によるITPの新しい診断基準, 治療プロトコールの作成が行われている。今回, われわれは口腔症状を呈したITP症例2例を経験したのでその概要を報告する。症例1は87歳, 男性, 口腔内出血を主訴に受診した。口腔出血, 血腫, 体幹の紫斑がみられITPと診断された。止血処置およびIVIg療法を施行された。その後血小板回復がみられ, 咬傷および感染予防のため抜歯を行った。症例2は69歳, 女性, 口腔内腫脹を主訴に受診した。ITPと診断されており, H.pylori除菌療法を受け, 血小板の回復がみられたために歯肉腫脹の原因歯を抜歯した。その後の経過は順調で後出血はみられなかった。