著者
山田 徹志 宮田 真宏 中村 友昭 前野 隆司 大森 隆司
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.44010, (Released:2020-11-27)
参考文献数
25

本論文では,保育分野(就学前教育・養育)において「子どもの育ち」を解釈する為の新たな方策として,子どもの位置・向き情報から関心を推定する分析手法の開発について報告する.我々はこれまでの研究から保育者が経験的に子どもの関心を読み取る際,子どもの位置・向きという行動特徴量を参照することを示した.同時に,人による関心状態の評価に対してベイズ推定を用いることで定量化できることが示唆された.これらをうけ本研究では,記録した保育活動場面の映像データ中の子どもの位置・向き情報と関心の対象について保育者によるアノテーションを実施した.その後,人手による関心記述の行動尤度と機械学習(HMM法,LDA法)による行動尤度を比較分析した.結果,取得した保育活動場面における幼児18名の関心の傾向は位置・向き情報から推定可能であることが示された.
著者
本村 陽一 村田 知佐恵 大塚 裕子 大森 隆司 山田 徹志
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.4L2J1303, 2019 (Released:2019-06-01)

本研究では、保育施設への人工知能(AI)導入プロジェクトについて、その構想の背景にある必然性や技術導入プロセスについての現状を総括する。また、保育士など保育従事者に対するヒアリングやインタビュー調査を行い、保育従事者の価値観や評価構造を明らかにし、それに基づき検討したAI技術活用の可能性、現場への導入のユースケースや期待される効果についても議論する。保育施設へのAI導入プロジェクトは、①保育の質向上のための保育技術の指標化、②既存のAI技術の活用、③新たなAIシステムの開発という3つの方向性で進めている。保育士目線での開発を重視した結果、アノテーションソフトなど、必要な技術開発が明確化された。また、保育とは何かを定義づけるための保育の質に着目した研究を行うことで、業務効率化に留まらないAI導入の社会実装化モデルとなり得ると考える。