著者
山田 悦子
出版者
北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院 = Research Faculty of Media and Communication, Hokkaido University
雑誌
メディア・コミュニケーション研究 (ISSN:18825303)
巻号頁・発行日
vol.71, pp.187-203, 2018-03-26

北海道大学現代日本学プログラムは、高等教育の国際化の流れの中で、日本の大学の正規学生として留学生を受け入れる日本学専攻の4年間の学士課程として設立された。第一期生が2014年10月に予備課程を、2015年4月より学士課程を開始し、当稿執筆時点の2017年11月で既に第四期生が予備課程を開始している。日本語を教育言語とする日本の大学の学士課程では、留学生の受け入れに際して障壁になると言われている「教育言語」の問題は大きく、入学時点で求められる高いレベルの日本語力がネックとなっていると言われている。またグローバル30の枠組みで多く作られた英語を教育言語とする学士課程では、日本に長期間滞在しながらも日本語力を身につけないまま大学卒業となり、日本での就職も難しいという問題があった。現代日本学プログラムはこの言語の障壁の解決も視野におき、日本語、英語の双方を教育言語とするバイリンガルプログラムとしての可能性を追求する方向で設置された。当稿ではこの現代日本学プログラム学士課程入学前の半年間の予備課程で取り入れた自律学習クラスの開発について述べる。筆者は2014年度秋学期より予備課程日本語コースの授業を担当し、2015年度より予備課程日本語コースコーディネーターとしてカリキュラム開発の試行錯誤を重ねてきた。それらの反省を交えながら今後のより一層の改善を目指し、自律学習に焦点を当てて以下に記すこととする。なお、当稿は「実践報告」に近い性質の「報告」として執筆した。