著者
河岡 義裕 渡辺 登喜子 岩附 研子 山田 晋弥 植木 紘史
出版者
東京大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2018-10-09

地球レベルでの環境変化や野生動物との生活圏域の近接化により、新興感染症となりうる人獣共通感染症が、ヒト社会に侵入する可能性は増大している。最近の研究から、アフリカ、南米、アジア等の国々が、人獣共通感染症が発生しやすいホットスポットであると予測されているが、その実態は未だ不明である。そこで本研究では、アフリカのシエラレオネ、南米のボリビア、東南アジアのインドネシアにおいて、人獣共通感染症を引き起こすウイルスの流行状況を把握するために、海外共同研究者と連携して、ヒトや野生動物における血清学的調査、および野生動物が保有するウイルスの分離・同定を行う。平成30年度は、10月に南米のボリビアを訪問し、共同研究者であるガブリエル・レネ・モレノ自治大学のJuan Antonio Cristian Pereira Rico博士および川森文彦博士と共に、野生動物サンプリングのための予備調査を行った。また2月には、アフリカ・シエラレオネを訪問し、シエラレオネ大学のAlhaji N’jai博士の協力のもと、Moyamba地区においてコウモリを捕獲し、臓器サンプリングを行った。現在、採取したサンプルの詳細な解析を行なっている。さらにシエラレオネでは、ヒトにおけるウイルス感染症の流行状況を調べるための血清学的調査を実施する準備として、各医療機関や保健省などを訪問し、協力研究者との研究打ち合わせを行った。またいくつかのウイルス抗原に対するIgG、IgM抗体を検出するELISAの系を確立した。