- 著者
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金子 明
皆川 昇
城戸 康年
加賀谷 渉
坂本 侑子
- 出版者
- 大阪市立大学
- 雑誌
- 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
- 巻号頁・発行日
- 2018-10-09
本研究計画は、ケニア・ヴィクトリア湖内島嶼におけるイベルメクチンとアルテミシニン併用療法の集団投薬による介入試験によって、マラリア伝播へのインパクトを検証し、新規媒介蚊対策としてのイベルメクチンによるマラリア制圧の概念実証を目指すものである。本年度は介入試験実施に向けた、事前フィールド調査研究、ならびに介入試験のプロトコル作成を実施した。ヴィクトリア湖内の小島(ンゴデ島、キブオギ島)に加えて人口25,000人程度のムファンガノ島、内陸部のウンゴイ地区において、2012年から継続している横断的マラリア感染調査を実施した。これにより、2018年2月にホマベイ郡が実施した室内残留型殺虫剤噴霧(IRS)が内陸部において一定の効果を示したことが明らかとなった。2019年2,3月にもIRSの第二ラウンドが計画されていることから、我々の介入試験はこれらのプログラムが予定されていないムファンガノ島を中心に展開することとした。さらに、共同研究者でり、イベルメクチンの抗マラリア薬としての応用について世界をリードするCarlos Chaccour(ISGlobal)とのディスカッションを行い、イベルメクチンのフィールド試験に向けて必要な基礎実験の必要性、ならびにイベルメクチンの対照として新規媒介蚊対策法である天井式蚊帳の介入試験を検証する意義を確認した。殺虫剤塗布蚊帳を用いた天井式蚊帳は、蚊の家屋への侵入を防ぐのみならず、吸血した蚊の殺滅効果も期待される。現在、この天井式蚊帳を用いた介入試験プロトコルを作成中である。