著者
松永 泰行 Colak Vakkas 貫井 万里 横田 貴之 鈴木 啓之
出版者
東京外国語大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2021-10-07

本研究計画は、国家・政治と宗教的ナショナリズムの研究で未開拓な分野といえる、多民族多宗教国家下で競合するナショナリズム運動間の共存の様態と、その様態において文化ナショナリズムが果たしうる役割を、現地調査を通じた実証研究で明らかにする。本研究を通じ、主に政治的ナショナリズムの諸相に焦点を当てる既存研究の限界を克服し、そこで不問とされている前提を実証的に検証する。
著者
金子 直樹 林 慶和 服部 多市 川野 真太郎
出版者
九州大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2021-10-07

COVID-19パンデミックは変異株の報告を含め未だ予断を許さない状況であり、病態の早急な解明が望まれている。われわれはこれまでに、COVID-19において特異なCD4+CTLsとDN B細胞が増加し、病態形成に関与することを明らかにしたが、その役割は不明である。本研究の目的は、これらの細胞の役割を明らかにし、治療応用への可能性を模索することである。またこれらの細胞は各種自己免疫疾患(IgG4関連疾患、強皮症)の病態形成(組織障害、線維化、自己抗体産生)にも関与することが示唆されており、本研究はCOVID-19の病態解明のみならず、非ウイルス性疾患を含む多岐疾患に応用できる可能性を秘めている。
著者
加藤 聖文 麻田 雅文 小林 昭菜 堀内 暢行
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2018-10-09

本研究は、日ソ戦争史研究の基盤(日ソ戦争アーカイブズ)構築を目的として2つの目標を設定する。第1の目標は、研究の土台となるロシアに点在する日ソ戦争関係の歴史資料(アーカイブズ)を日露共同で調査・収集を行う。第2の目標は、収集した資料の一部を翻刻して出版(またはテキスト公開)するとともに、独露間の資料共用化プロジェクトを参考に、国際的データベース・ソフトのAtoMを活用して所在情報・収集資料の共用化を図る。上記の目的に基づき、第3年度はロシア国内での調査収集の拡充を図る予定であったが、新型コロナウィルスの感染拡大のためロシアを中心とした海外調査が不可能となり、事実上研究遂行が停止状態のなかで計画の大幅な見直しを行わざるを得なかった。海外調査が困難ななか、研究成果の発信に力点を置くこととし、11月14日開催のロシア史研究会大会パネル「日ソ戦争-研究の新視点と新資料」において「ソ連軍の満洲占領と地域秩序の崩壊」と題する報告を行った。また、ロシア調査で収集した資料を基に『海外引揚の研究-忘却された「大日本帝国」』(岩波書店、2020年11月)を刊行した。また、各分担者においても単著の刊行など研究成果の発信に努めた。この他、資料調査に関しては、日本国内(樋口季一郎記念館・鶴岡市郷土資料館・舞鶴引揚記念館など)での日ソ関係資料の調査を行い、初年度から続けているロシア語文献収集および収集資料のデータベース化による基盤構築研究を進めた。
著者
金子 明 皆川 昇 城戸 康年 加賀谷 渉 上坂 侑子
出版者
大阪市立大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2018-10-09

本研究計画は、ケニア・ヴィクトリア湖内島嶼におけるイベルメクチンとアルテミシニン併用療法の集団投薬による介入試験によって、マラリア伝播へのインパクトを検証し、新規媒介蚊対策としてのイベルメクチンによるマラリア制圧の概念実証を目指すものである。現在、イベルメクチンの対照として、新規媒介蚊対策法である天井式蚊帳の検証を進めている。本年度は、新型コロナウイルス感染症拡大のため、現地への渡航、研究推進が制限されたが、現地共同研究者ならびに現地NGOへの業務委託により、遠隔での研究推進の体制が整備された。この体制により、天井式蚊帳の大規模なクラスター無作為化群間比較対照試験(CRCT)をムファンガノ島において実施する準備が進められた。2000家族、10,000人の情報と家屋構造の情報を収集し、CRCTに必要なクラスター設計を行った。来年度中には介入を開始し、その評価を行う予定である。また並行して、媒介化対策法の検証において、交絡因子となりうる他の介入試験(室内残留型殺虫剤噴霧(IRS))の効果を、内陸部において検証した。ホマベイ郡とUSAIDのプログラムによりIRSが4年間実施された内陸部ではRDTによるマラリア感染率が50%から10%まで減少、低度流行が維持されているが、IRSが1年目で中断されたムファンガノ島では、同様の減少後の伝播再興が確認され、介入の中断により即時的な再興が起こりうるリスクが示唆された。こうした最高の危険性にイベルメクチンによる集団投薬、あるいは天井式蚊帳がどのように対処できるかを、来年度の検証事項とする予定である。
著者
高村 昇 平良 文亨 折田 真紀子 高橋 純平
出版者
長崎大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2018-10-09

本研究で明らかにすることは、1)チェルノブイリ周辺地域における甲状腺超音波所見の自然史と、2)甲状腺がんの自然史およびその長期的予後、である。研究代表者が20年以上にわたって共同研究を行ってきたジトーミル州立診断センターでは、2006年からは現在福島県民健康調査で使用されている超音波装置と同じ機器を使用して甲状腺超音波検査を実施し、全ての受診者の画像を経年的に保存している。本研究では、事故(1986年)前に生まれ、放射性ヨウ素による甲状腺の内部被ばくをうけた群(被ばく群)と事故後に生まれ、甲状腺の内部被ばくを受けていない群(非被ばく群)の両群における初診時の画像を、福島県民健康調査の甲状腺検査の診断基準に合わせて分類(A1、A2、B)し、それぞれの群の画像を前向きに解析していくことで、甲状腺超音波所見の自然史を明らかにしていくと同時に、被ばく群と非被ばく群における所見の違いの有無についても解析を行った。その結果、被ばく群と非被ばく群において、甲状腺超音波所見に差異があったが、年齢で調整することによって有意差は消失することを明らかにした。すでに結果を取りまとめて論文を執筆し、国際専門雑誌に投稿している。今後は、甲状腺がんと診断された症例については、診断される以前の画像を後ろ向きに解析することで、甲状腺がん超音波所見の自然史を明らかにしていく。放射線被ばく群と非被ばく群における所見の違いの有無についても明らかにすると同時に、甲状腺がん症例の手術後の経過について前向きに解析することで、甲状腺がんの長期的予後についても明らかにする。
著者
中村 誠一 森島 邦博 西尾 晃
出版者
金沢大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2020-10-27

本国際共同研究はホンジュラスの世界遺産「コパンのマヤ遺跡」において、ミューオン透視という日本発の物理学イノベーションをマヤ文明の神殿ピラミッド内部の探索に利用する新しい発想の考古学調査法により、マヤ碑文に記載されているコパン王墓を世界に先駆けて発見しようとする文理融合研究である。コパン遺跡アクロポリス内の11号神殿をターゲットとして、ミューオン透視法を適用し王墓の可能性がある未知の空間を同定する。可搬式ライダー機器を使った三次元計測によって構築された3Dモデルに発見空間を正確に位置づける。そこへ最短距離で到達できるトンネル経路を設計し11号神殿内部を発掘調査し透視結果を考古学的に検証する。
著者
橋本 千絵 宮部 貴子 徳山 奈帆子
出版者
京都大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2018-10-09

メスが寿命よりも数十年も早く繁殖を終えるという「閉経」は、これまでヒトとクジラ類でしか確認されたことのない非常に稀な進化しにくい形質で、ヒトでなぜ閉経が進化したかについては未だに解明されていない。ヒトに最も系統的に近いチンパンジー・ボノボにおいても、閉経の有無は未だに決着がついていない。本研究は、これまで長期継続調査を続けたウガンダ共和国カリンズ森林保護区の野生チンパンジーとコンゴ民主共和国ルオー科学保護区の野生ボノボを対象に、非侵襲的に収集する尿試料による性ホルモンの動態分析を行い、加齢による性生理の変化と閉経の有無について明らかにする。さらに、閉経の進化に関係する社会的・繁殖戦略的な要因、つまり、老齢メスの子どもの生存率や母親から子どもへのサポートによる孫世代の繁殖成功度の増加などについても調べ、大きな議論を呼んでいる「おばあさん仮設」の検証を行う。平成31年度においては、研究代表者の橋本がウガンダ共和国カリンズ森林保護区で野生チンパンジーを対象とした調査を行い、現地調査補助員によるホルモン試料収集と老齢メスの行動記録を行った。また、研究代表者の橋本と研究分担者の徳山がコンゴ民主共和国ルオー科学保護区で野生ボノボを対象とした調査を行い、現地調査補助員によるホルモン試料収集と老齢メスの行動記録を行った。さらに、分担者の宮部と研究協力者の毛利がホルモン試料の分析について実験を開始した。また、これまでに採取した尿試料についてのホルモン分析を行い、学術誌に投稿するための論文を準備・投稿を行い、学会で発表した。
著者
横溝 岳彦 城 愛理
出版者
順天堂大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2019-10-07

BLT2の結晶構造解析と、構造を元にしたBLT2作働薬のリード化合物の樹立を行う。研究代表者の研究室ではBLT2の熱安定変異体の作製と結晶化に必要な単クローン抗体の樹立を行う。Heptares社では、研究代表者が樹立した熱安定変異体BLT2の大量発現、精製、結晶化と構造解析を行い、立体構造を元に候補化合物を選定する。研究代表者は候補化合物の評価を行い、Heptares社にフィードバックする。Heptares社は化合物の至適化を行い、至適化化合物を用いて再度BLT2の結晶化と構造解析を行う。こうしたフィードバックを伴った密接な共同研究によって、BLT2の高親和性作働薬のリード化合物を見いだす。
著者
窪田 悠一 大林 一広 冨永 靖敬 田中 有佳子
出版者
日本大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2021-10-07

本国際共同研究の目的は、国内武力紛争(内戦)下の反政府武装勢力(反乱軍)による市民経済の管理・統制のメカニズムとその影響を理論的、実証的に明らかにすることにある。本研究では、反乱軍経済やその影響について、定量的な分析を可能にするデータセットの構築と現地調査を含む事例研究を通して考察する。内戦下の反乱軍は、なぜ、またどのように市民経済に関与するのか、またそうした経済政策や市民経済との関係は紛争の動態や市民の意識や政治社会行動にいかなる影響を及ぼすのかという問いに多角的にアプローチすることで、反乱軍経済だけでなくその領域統治メカニズムの解明に貢献することを目指す。
著者
佐藤 周之 上野 和広 長谷川 雄基 珠玖 隆行
出版者
高知大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2019-02-07

本研究課題は,ベトナム社会主義共和国内における農業水利施設のコンクリートを対象とし、品質評価ならびに農業水利施設の機能不全の原因究明を行うとともに,材料学的な見地から最適な施工・維持管理手法の提案を行うものである。本研究の遂行には、ベトナムにおける現地調査が不可欠である。そのため、2019年度中に原位置調査を実施するための発電機や変圧器、その他様々な資・機材の手配や調査計画の立案を進め、2019年度末からの実行へと移るだけの状態としていた。ところが2019年度末からの世界的なコロナ感染拡大の影響を受け、まず2020年3月のベトナムへの渡航を中止した。その際は、ベトナム側の入国禁止措置が主たる理由であった。2020年度初以降、日本での感染拡大も続き、海外への渡航が全面的に困難となっていった。2021年度は、我が国ではようやく11月、12月に感染拡大が収束したため渡航を計画したが、今度はベトナム側が再度のロックダウンとなり、研究協力者であるVinh大学側の研究者にも感染者が出たとの連絡があった。我が国でもオミクロン株の流行が起こり、そのまま年度末を迎えた。そこで、研究分担者ならびに現地カウンターパートの了承を得た上で、当初予定であった研究終了期間を2021年度末から2022年度末へと、再度の研究期間の延長申請を行った。以上の理由から、本年度(2021年度)は具体的な研究成果を上げることができなかった。そこで、2022年度への延長申請を行った。研究活動としては、研究手法と想定する内容の基礎研究を国内で進め、一定の進捗をみることができた。
著者
笠原 成 木原 工 今城 周作
出版者
岡山大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2022-10-07

強相関電子系で実現する特異な量子凝縮相や新奇電子状態の探索と解明は、凝縮系物理学における中心課題の一つである。本研究では、欧州強磁場研究所(European Magnetic Field Laboratory: EMFL)における強磁場実験、特に、オランダ・Nijmegen強磁場研究所における極限定常磁場下での精密熱輸送測定を基盤としたエキゾチック凝縮相の探索と解明に取り組む。『強磁場熱測定』に精通した国内屈指の若手から中堅で構成される当該分野のエキスパートが、国際ネットワークを構築し、40T超の定常磁場実験が新たな潮流となる時代の転換期において、強磁場物性科学のフロンティアを切り拓く。
著者
吉田 邦彦 牛尾 洋也 今野 正規 橋本 伸 RodriguezSamudio RubenEnrique 西原 智昭 広瀬 健一郎 ゲーマン・ジェフリー ジョセフ 上村 英明 木村 真希子
出版者
北海道大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2021-10-07

世界中の先住民族への過去の不正義の理論的・比較法的研究は、国連の先住民族の権利宣言に基づく漸進的進展がある。法的問題としては、土地・環境問題、遺骨返還、知的所有権、先住権(漁撈権など)などがあり、日本の状況は諸外国からは学ぶところが多い。他方で、国際政治の大きな変化で、民族紛争は分散的継続で、強制移民や先住民族の周縁化・深刻化も見逃せない。本研究では、国連との関係も密にし《世界標準》との関連で、先進諸国・発展途上国・日本近隣諸国の先住民族をグローバルに検討し、先住民族の諸課題の現場的考察との照合から、日本の先住民族(アイヌ民族、琉球民族)が抱える諸問題を学際的・経験的(実証的)に解明する。
著者
矢藤 優子 孫 怡 安梅 勅江 安田 裕子 吉 げん洪 Park Joonha
出版者
立命館大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2020-10-27

本研究は日本・中国・韓国3ヵ国における社会心理学・発達心理学・臨床心理学の研究者と連携し,多様な研究手法を用いた大規模な文化比較研究を通じて, 1)就労女性の産後復帰の実態および早期育児支援,養育スタイルのあり方を比較し,2)3ヵ国において異なる育児支援・養育スタイルが社会・家庭・個人要因と絡みながら,親子のwell-beingおよび乳幼児の発達に影響を及ぼすメカニズムを解明,3)各育児支援スタイルの利点と欠点および文化差を明らかにした上で,働く母親に有効な育児サポートと支援策を提供し,女性の就労・育児の両立,および子どもの健やかな成長に貢献することを目指す。
著者
永島 広紀 藤岡 健太郎 久米 朋宣 六反田 あゆみ
出版者
九州大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2019-10-07

本研究は、「演習林」を通じて学問領域を横断的に、かつ大学・部局をも横断的に、しかも最終的には、各「帝国大学」と「内/外地演習林」との関係史を考究することによって、大学と演習林」の史的な連環を繙く作業である。演習林は大学組織としては<準部局>的に存在し、また広大な敷地と研究・実習用標本、そして植林/伐採にまつわる現業部門をも有した重畳的な組織である。本研究は演習林のこうした組織的特性から、狭義の「大学史」では取り扱いづらい「大学史料アーカイヴ」「技術史/技術官僚論」「水環境と地域史」「山林生態学」「災害/災害予防学」という文理両系に跨る各領域を統合した、新たな研究の地平を開こうとするものである。
著者
日野 愛郎 西川 賢 MCELWAIN KENNETH FAHEY ROBERT・ANDREW 劉 凌
出版者
早稲田大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2020-10-27

本研究は、ポピュリズムの国際比較研究プロジェクトにおいて空白国となっている日本の基礎データを構築して広く公共財として提供すると同時に、他国と比較してなぜ日本においてポピュリズムが不在(と言われる)かという問いに一定の答えを提示することを試みるものである。ポピュリズム研究の第一人者であるCas Mudde氏と協働しながら、日本型ポピュリズムの独自の視点を提起するとともに、政治家・政党のメッセージの内容分析やソーシャル・メディアのテキスト分析の統合データを国際基準に準拠・発展させて整備することを目指す。
著者
芦沢 真五 森 利枝 花田 真吾 関山 健 野田 文香
出版者
東洋大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2019-10-07

先進的な外国学歴・資格認証制度を持つ3か国(オーストラリア、 カナダ、オランダ)の比較調査により、電子化や東京規約といったグローバルな資格相互認証制度と人材活用の潮流を踏まえて、日本に相応しい制度の提言を目指す。この目的のため、海外共同研究者とともに、各国で政府機関、認証機関、高等教育機関、認証サービス利用者に対する量的および質的調査を行い、その実態を明らかにする。調査結果を比較分析し、実用可能な日本型認証制度のあり方を提言にまとめ、国際会議や国際共著論文で発信する。
著者
河岡 義裕 渡辺 登喜子 岩附 研子 山田 晋弥 植木 紘史
出版者
東京大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2018-10-09

地球レベルでの環境変化や野生動物との生活圏域の近接化により、新興感染症となりうる人獣共通感染症が、ヒト社会に侵入する可能性は増大している。最近の研究から、アフリカ、南米、アジア等の国々が、人獣共通感染症が発生しやすいホットスポットであると予測されているが、その実態は未だ不明である。そこで本研究では、アフリカのシエラレオネ、南米のボリビア、東南アジアのインドネシアにおいて、人獣共通感染症を引き起こすウイルスの流行状況を把握するために、海外共同研究者と連携して、ヒトや野生動物における血清学的調査、および野生動物が保有するウイルスの分離・同定を行う。平成30年度は、10月に南米のボリビアを訪問し、共同研究者であるガブリエル・レネ・モレノ自治大学のJuan Antonio Cristian Pereira Rico博士および川森文彦博士と共に、野生動物サンプリングのための予備調査を行った。また2月には、アフリカ・シエラレオネを訪問し、シエラレオネ大学のAlhaji N’jai博士の協力のもと、Moyamba地区においてコウモリを捕獲し、臓器サンプリングを行った。現在、採取したサンプルの詳細な解析を行なっている。さらにシエラレオネでは、ヒトにおけるウイルス感染症の流行状況を調べるための血清学的調査を実施する準備として、各医療機関や保健省などを訪問し、協力研究者との研究打ち合わせを行った。またいくつかのウイルス抗原に対するIgG、IgM抗体を検出するELISAの系を確立した。
著者
山崎 小百合 今井 優樹 的場 拓磨 志馬 寛明 浦木 隆太
出版者
名古屋市立大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2019-10-07

自己免疫疾患は超高齢化社会の日本と世界の先進国で増加している。自己免疫疾患の発症や増悪は病巣感染で誘因されることが知られている。高齢者でも安心に使用できる治療法の開発のため、詳細な機序の解明が急務である。これまでの研究成果を発展させて超高齢化社会で問題となる病巣感染の病態メカニズムに迫り、高齢者でも安心な合併症の少ない治療法の開発への貢献を目指す。