著者
山田 桃子
出版者
日本近代文学会
雑誌
日本近代文学 (ISSN:05493749)
巻号頁・発行日
vol.88, pp.81-94, 2013-05-15

Previous studies have shown that the series of concerts Kajii mentions in his "Kigaku-teki genkaku" were given by a French pianist, Henri Gil-Marchex(1894-1970), who visited Japan in 1925. Although Kajii's essay may appear to be merely testimony to his presence at a historic musical event in modern Japan, what the author tries to convey has deeper implications. This paper argues that Kajii was referring to historical transformations of the subject of perception. Kajii's text depicts two completely different reactions he had at a concert. While he notes that he listened attentively to a sonata, and that that was a moving experience, he also writes that listening to modern French musical selections at the same concert inevitably caused his focus to self-destruct, resulting in hallucinations. The contrast between the two musical experiences corresponds to the contrast in musical compositions between the classical and modern music of the West. Kajii, however, focuses on the transformation undergone by the perceiving subject. It is important to understand the transformation of the perceiving subject, delineated as a reaction to Western musical performance, in the larger context of the nascent mass consumer culture of the time.
著者
山田 桃子
出版者
日本近代文学会
雑誌
日本近代文学 (ISSN:05493749)
巻号頁・発行日
vol.101, pp.171-186, 2019-11-15 (Released:2020-11-15)

内田百閒と言えば、『百鬼園随筆』(一九三三)により人気を博し昭和初期の「随筆」ブームを牽引した作家として語られるが、その戦前期の充分な検討が行われているとは言えない。実は、『百鬼園随筆』の刊行以前、百閒のテクストは「随筆」に限らない雑多な文章群をめぐる問題に関わっていた。また、刊行によって「百鬼園」の名が「随筆の代名詞」となって以降も、百閒のテクストはジャンルの分類を攪乱するものとして現れている。そのため本稿では、ジャンルの歴史性をふまえながら、『百鬼園随筆』刊行前後の時期を中心に、百閒のテクストの問題を検討した。百閒のテクストは、文学領域をめぐる変動と関わり、ジャンルの境界線を攪乱させるものとして現れている。
著者
星野 祐司 山田 桃子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.153-164, 2008-02-29 (Released:2010-07-21)
参考文献数
30

見ていない項目に関する詳細情報が虚再生に及ぼす影響について検討した.実験参加者は対になって6つの場面の画像を見た.半数の参加者には,残りの半数の参加者が見ていない3つの独自項目が提示された.引き続き行われた共同再生テストでは,2名の参加者が各場面に含まれていた項目を口頭で報告した.項目条件では項目の名前についての再生が参加者に求められた.詳細条件では項目の名前,色,形,場所を再生することが参加者に求められた.したがって,共同想起において独自項目を見ていない参加者は独自項目に関する誤情報を聞く可能性があった.共同想起の終了後,個別再生テストが実施され,再生項目に対してremember/know判断を求めた.項目条件における独自項目についての虚再生の頻度は詳細条件における虚再生と同程度であった.項目条件では虚再生に対するremember判断が観察されたが,詳細条件では観察されなかった.これらの結果についてソースモニタリングの観点から考察した.
著者
小山 慎一 NORASAKKUNKIT Vinai CHEN Chun-hsien AHMAD Hafiz Aziz 由 振偉 張 暁帆 若松 くるみ 商 倩 成田 佳奈美 堀端 恵一 山田 桃子
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

研究課題の研究1~4の全てを実施し,その成果を学会および論文で報告した.研究 1では照明の第一印象に与える影響について検討し,研究2では選択肢の種類と数が消費者の選択時における満足度に与える影響について検討した.研究3・4では消費者がモノに対するこだわりと愛着を発達させるプロセスおよび飽きが生じるメカニズムについて検討した.以上の研究から,モノに対する長期的な愛着を発達させるためには「積極的に情報を収集し,複雑な評価を楽しむことによって対象物に対する愛着を発達させ,愛着が発達することによってさらに積極的に情報を収集するようになる循環的なプロセス」が重要な役割を演じていることが示唆された.
著者
山田 桃子
出版者
ゆまに書房
雑誌
巻号頁・発行日
vol.4, pp.148-166, 2011-03