著者
山田 祐彰 瀧谷 イザベルクリスチーナ 堤 剛太
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

ブラジル北部で一世紀にわたり開拓に従事する日本人移民とその子孫は、ジュートとコショウの導入でアマゾンに初めて農業を確立した後、経営多角化を目指して1970年代から遷移型アグロフォレストリーを発展させた。周囲のブラジル人小農に模倣され普及していったが、熱帯雨林地域の環境に適合した持続的農法として国際的な評価を得ている。アマゾンの日系農場と、日系アグロフォレストリーを受け入れたブラジル人小農集落を調査し、この持続型農業体系の普及プロセスを明らかにした。
著者
川端 良子 片山 幸士 長井 正博 山本 政儀 山田 祐彰 五味 高志
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

中央アジア・ウズベキスタン共和国内のヌクスを中心としたアムダリア流域にて,大規模灌漑農業による環境汚染と生態系への影響について以下の調査を行った. 1)飲料水である地下水の調査を行った. 2)潅漑用水,潅漑排水,および河川水を採取し,灌漑農業による河川水への影響を調査した. 3)ヌクス近郊の農村で,人体への影響に関しての聞き取り調査を行った. 4)河川水と地下水を毎月試料採取し,月変動を調査したその結果、地下水の元素濃度の方が、河川水より高い濃度であった。さらに、冬場に、特に、地下水の硝酸イオン濃度が高くなっていることが明らかとなった。また、ヌクスの郊外の農村で,縞状の歯を持つ子供たちが多くみられ過去に何らかのエナメル質を溶かすような有毒な物質が,井戸水に含まれていた可能性が高いことがわかった.そこで,月変動を明らかにすることと,一時的な汚染であれば,どのような時期に汚染されているかを調べるために,毎月この村で地下水の試料を採取することにした.その結果、地下水の元素濃度の方が、河川水より高い濃度であった。さらに、冬場に、特に、地下水の硝酸イオン濃度が高くなっていることが明らかとなったしかし、濃度変化は、年度によって差があり、さらに詳しく調べる必要があることが明らかとなった
著者
石澤 祐介 イシザワ ユウスケ Ishizawa Yusuke 白子 智康 シラコ トモヤス Shirako Tomoyasu 味岡 ゆい アジオカ ユイ Ajioka Yui 上野 薫 ウエノ カオル Ueno Kaoru Do Tan Hoa Tran Van Thanh 山田 祐彰 ヤマダ マサアキ Yamada Masaaki 南 基泰 ミナミ モトヤス Minami Motoyasu
出版者
中部大学生物機能開発研究所
雑誌
生物機能開発研究所紀要 (ISSN:13464205)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.33-54, 2012-03

ヴェトナム国内最大級の熱帯雨林を保有するカッティエン国立公園において,2011年3月8日から16日の間,国立公園内の17箇所でネズミ科の生息及び餌資源について予備調査を行った.ネズミ科2属3種(4個体)(シナシロハラネズミNiviventer confucianus,ヒマラヤクリゲネズミN.fulvescens,クマネズミ属Rattus sp.)を捕獲することができた.特に,種同定のためにミトコンドリアDNA のD-loop 及びCOI を利用したDNA バーコーディング法は,従来の外部形態及び頭骨形態による種同定に比べ,熟練した鑑定技術を必要としない技術であることが確認できた.このことから,種特異的な形態的特徴の判定が困難なネズミ科の種同定のためのツールとしてDNA バーコーディング法は有効であると考えられた.また,餌資源推定についても胃腸内容物より全DNA を抽出し,DNA バーコーディング法を用いて植物性(rbcL)及び動物性(COI)被食物共にBLSAT 検索を行い,植物由来被食物ではツルアカメガシワ(Mallotus repandus)(Euphorbiaceae トウダイグサ科),キデナンツス属一種(Chydenanthus excelsus)(Lecythidaceae サガリバナ科),ハマビワ属一種(Litsea timoriana)(Lauraceae クスノキ科),アメリカハマグルマ(Sphagneticola trilobata)(Compositae キク科)の4 種が,動物由来被食物としてシロアリ科 (Termitidae シロアリ科),ミドリゼミ属(Dundubia nagarasingna)(Cicadidae セミ科),ウデムシ目(Amblypygida)の3 種が推定され,今後餌資源推定のためには有益なツールであることが確認できた.また,罠捕獲地点の植生データと照合することによって,餌資源となる植物や動物性餌資源に寄与する植生などの推定が可能となるので,今後の哺乳類相保全のための熱帯林保全指針として活用できると期待された.A preliminary field survey of Muridae species and their food resources in Cat Tien National Park, Vietnam was conducted between March 8 and 16, 2011, during which three species of mice were collected and identified. Species were identified through both DNA barcoding using polymorphic DNA within the mitochondrial D-loop and COI sequences as well as examination of external morphological features such as body and skull shape. Three species of mice, Niviventer confucianus, N.fulvescens and Rattus sp., were identified using the methods outlined above. In order to estimate plant and animal food resources available to Muridae species within the study area, total DNA was extracted from the gastric contents of each mouse specimen collected. Chloroplastic rbcL and mitochondrial COI within extracted gastric contents were amplified by PCR and used to identify plant and animal food resources, respectively. Homology search using BLAST was also conducted in order to identify food resources within extracted gastric contents. Results indicated that genetic material from four plant species, Mallotus repandus (Euphorbiaceae), Chydenanthus excelsus (Lecythidaceae), Litsea timoriana (Lauraceae), and Sphagneticola trilobata (Compositae), as well as genetic material from three animal species, an unidentified species from the Termitidae family, Dundubia nagarasingna (Cicadidae), and Amblypygida sp., were present. DNA barcoding methods were able to provide valuable information that assisted in the identification of Muridae specimens as well as their food resources, both plant and animal. The methodology used in the present study could be applied to the management of sustainable use of mammalian food resources within tropical forest environments.