著者
梶 光一 吉田 剛司 久保 麦野 伊吾田 宏正 永田 純子 上野 真由美 山村 光司 竹下 和貴
出版者
東京農工大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01 (Released:2014-04-04)

ニホンジカの島嶼化プロセスとメカニズムを解明するために、島に導入されたニホンジカの生態・形態・遺伝の年代的変化を調べた。餌資源化で体の小型化が生じ初産齢が上昇したが、間引きによって体重の増加と初産年齢の低下が生じた。餌の変化に対応して第一大臼歯の摩耗速度は初回の崩壊後に早まった。一方、臼歯列サイズは、減少から増加に転じた。有効個体群サイズおよび遺伝的多様性も一度減少したが、その後それぞれ安定および増加に転じた。以上は、餌資源制限下で形態・遺伝に対して正の自然選択が働いた可能性を示唆している。
著者
五味 高志 戸田 浩人 木村 園子ドロテア 渡邊 裕純 浅野 友子 水垣 滋 布川 雅典 根岸 淳二郎
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-05-31 (Released:2012-11-27)

森林-渓流生態系の構成物質では、林床落葉の放射性セシウム濃度が最も高く、福島原発事故によって放出された放射性物質の多くは、陸域に現存していた。流域のCs-137空間分布は、林相、微地形、立地などに影響されていた。森林土壌では、農地土壌と比べて有機物に吸着したCs-137が多かった。森林から渓流に供給されたリターは、溶脱によって放射性セシウムが流出し、CS-137濃度は林床の25%程度であった。これに応じて、同じ栄養段階の生物では、林床に生息するものより渓流に生息する動物でCs-137濃度が高くなっていた。本研究結果から、有機物に付着したCs-137の長期的な観測の重要性を示唆できた。
著者
松田 浩珍 田中 あかね 下田 実 新井 克彦 辻本 元 西村 亮平
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005 (Released:2005-04-01)

イヌ肥満細胞腫臨床サンプルに関し、c-kit遺伝子の全領域について遺伝子変異の検索を行い、細胞膜直下領域の遺伝子変異が12%程度の症例に認められたものの、その他88%の症例におけるc-kit遺伝子は、野生型であることを示した。また、変異型c-kit遺伝子を用いて遺伝子導入実験を実施したが、腫瘍性増殖が誘導されなかった。このことから、c-kit遺伝子の変異が腫瘍性増殖の根幹ではなく、それ以外の細胞内分子にも何らかの異常が併発することで腫瘍性増殖が誘導されていることが示唆された。肥満細胞腫細胞ではD型サイクリンの過乗発現、Bcl-2ファミリー分子Mcl-1の過剰発現、Bcl-2抑制性BH3ファミリータンパクの低発現、p21・p27・p53などのガン抑制遺伝子の低発現が認められた。また、転写因子NF-κBやAP-1が活性化しており、これらの分子標的阻害剤によって細胞周期の進行が阻止され、細胞の増殖が抑制されることが明らかとなった。その活性化を誘導する上流の細胞内シグナル分子として、PI3キナーゼ系の下流でS6キナーゼが強く活性化しており、転写を制御するS6リボソーマルプロテインの発現が亢進していることが明らかとなった。さらに、c-kit遺伝子に変異を有さず、高親和性IgEレセプターを発現する新しいイヌ肥満細胞腫株を樹立し、その成果を論文発表した。c-kit遺伝子変異以外の腫瘍化あるいは腫瘍性増殖促進メカニズムを検索する目的で、症例サンプルや数種のイヌ肥満細胞株を用いて、各種サイトカインおよびそのレセプターの発現とグレード(悪性度)との関連を検討した。肥満細胞種の多くが、IL-3や-6、GM-CSF、SCFなどの増殖因子を自ら産生し、それらのレセプターも発現していること、それらを中和することで細胞増殖が抑制されることを明らかにした。
著者
清水 本裕
出版者
東京農工大学
雑誌
東京農工大学人間と社会 (ISSN:13410946)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.87-103, 1995-04-01
著者
小原 嘉明 佐藤 俊幸
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003 (Released:2003-04-01)

標記の研究課題を追求するために、下記の(1)から(3)の研究を行い、それぞれ下記の成果を得た。(1)ユーラシア大陸内とその近辺の島嶼における「まぼろし色」(紫外色)の翅の雌の分布についてこれについての概要を知るために、「自然史博物館」(ロンドン、イギリス)と「Zoologisches Forshungsmuseum Alexander Koenig博物館」(ボン、ドイツ)に所蔵されている関係地域のモンシロチョウ標本の紫外線写真を撮って紫外線の反射の有無および反射の強さを調査した。その結果、紫外線を反射する翅を有する雌はユーラシア大陸の東の沿海部のみにおいて観察されたこと、その他の、ヨーロッパ、中央アジア、地中海に面したアフリカ北部、およびカナリア諸島とキプロス島には観察されないこと分かった。(2)「まぼろし色」の翅を有する雌の進化について上記の結果と、紫外色の発現条件(幼虫時の長日条件)に基づいて、紫外色翅を有する雌のユーラシア大陸内での進化を追求するために、同大陸とその周辺の地域においてモンシロチョウを採集し、それから得た幼虫を長日条件下で飼育し、得られた雌成虫の翅の紫外色の有無およびその強度を調査した。その結果上記(1)の推測が支持された。すなわち、イギリスからキエフ(ウクライナ)間のヨーロッパでは紫外色を有する雌が見られないこと、北京(中国)およびソウル(韓国)から広州(中国)に及ぶ沿海部と台北(台湾)においてのみ紫外色を有する雌が棲息していることが分かった。またこれらの地域では紫外色を有する雌と有しない雌が混在していることも分かった。これらの結果から、紫外色を有する雌はユーラシア大陸の東方の沿海部近辺において進化したことが示唆された。(3)紫外色の遺伝機構について紫外色翅を有しないオランダのモンシロチョウと、それを有する日本のモンシロチョウを交雑して得られた結果を分析した結果、紫外色は複数の遺伝子座の遺伝子によって支配されていることが示唆された。
著者
佐々 悠木子
出版者
東京農工大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01 (Released:2017-04-28)

[1]抗ABVモノクローナル抗体の作製ABVのMuBV-1とPaBV-4のN領域の組換えタンパクを大腸菌にて発現精製し、Balb/cマウスに免疫した。マウスにおいて、抗体価は十分に上昇し、抗血清を得ることができた。しかしながら、マウスの脾細胞とミエローマSp-2/AG14の融合を試みたが、MuBV-1及びPaBV-4に対して抗体価をもつハイブリドーマは得られなかった。[2]動物感染実験によるABVの感染性、病原性および体内動態の評価生体のトリへの接種に用いるABVをABV持続感染細胞から回収し、ウイルス力価を確認し、接種の準備が整った。導入した生体のトリが、ABVとは関連のないマクロラブダス症などの他の感染症で亡くなってしまったため、今年度は発育鶏卵でのABVの増殖の有無を調べた。ニワトリの品種は、GRN, GSP, GSN/1, PNP/DO, YL, BL-E, WL-G, WL-M/O, RIR, CAL, 413, OS, GB, EJ, DDW, POL, BRB, JB, SIL, FZSILの20品種を用いた。10日齢の発育鶏卵にMuBV-1を漿尿膜腔接種し、5日培養して漿尿液を回収し、MuBV-1を定量PCRにて測定したがいずれの品種の発育鶏卵でもウイルスの増殖が確認されなかった。また、4代まで継代を試みたが、ウイルスは増殖しなかった。このことより、発育鶏卵ではMuBV-1は増殖せず、ニワトリでのABVの感染のリスクは他の鳥種と比較して低いと考えられる。
著者
渡辺 直明 桑原 誠 桑原 繁
出版者
東京農工大学
雑誌
フィールドサイエンス (ISSN:13473948)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.31-35, 2003-03-25

FM草木のヒダナシタケ目菌類の調査記録をまとめた。FM草木内で採集され,FM大谷山施設棟に保管された標本は21科59属88種であった。西田(1963)や群馬県立自然史博物館(1998)の菌類リストの報告と比較すると,未記録のものが11種あった。
著者
川部 眞登 有江 力
出版者
東京農工大学
雑誌
フィールドサイエンス (ISSN:13473948)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.25-32, 2003-12-20
被引用文献数
1

チリ共和国,地域I(タラパカ)および地域V(アコンカグア)の圃場において栽培種トマト(Lycopersicon esculentum)の採集を行った。また,地域Iの標高1-1,000mおよび2,000-3,700mのフィールドにおいて,野生種トマト(L. peruvianumおよびL. chilense)をそれぞれ採集した。
著者
仲井 まどか 高務 淳
出版者
東京農工大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01 (Released:2015-04-16)

1)日本で見つかったアスコウイルス分離株には寄生蜂致死タンパク質(PKT)のホモログが複数存在していた。2)日本産アスコウイルスのベクター(伝播者)は、ギンケハラボソコマユバチであることが明らかになった。3)日本産アスコウイルス感染虫よりギンケハラボソコマユバチは、脱出できたので、このウイルスのゲノムにPKTがコードされている理由は、「ベクター自身の排除ではなく、ベクターの競争相手となる寄生蜂を排除することによりウイルスの適応度を上がるため」という仮説が考えられた。
著者
川端 良子 片山 幸士 長井 正博 山本 政儀 山田 祐彰 五味 高志
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

中央アジア・ウズベキスタン共和国内のヌクスを中心としたアムダリア流域にて,大規模灌漑農業による環境汚染と生態系への影響について以下の調査を行った. 1)飲料水である地下水の調査を行った. 2)潅漑用水,潅漑排水,および河川水を採取し,灌漑農業による河川水への影響を調査した. 3)ヌクス近郊の農村で,人体への影響に関しての聞き取り調査を行った. 4)河川水と地下水を毎月試料採取し,月変動を調査したその結果、地下水の元素濃度の方が、河川水より高い濃度であった。さらに、冬場に、特に、地下水の硝酸イオン濃度が高くなっていることが明らかとなった。また、ヌクスの郊外の農村で,縞状の歯を持つ子供たちが多くみられ過去に何らかのエナメル質を溶かすような有毒な物質が,井戸水に含まれていた可能性が高いことがわかった.そこで,月変動を明らかにすることと,一時的な汚染であれば,どのような時期に汚染されているかを調べるために,毎月この村で地下水の試料を採取することにした.その結果、地下水の元素濃度の方が、河川水より高い濃度であった。さらに、冬場に、特に、地下水の硝酸イオン濃度が高くなっていることが明らかとなったしかし、濃度変化は、年度によって差があり、さらに詳しく調べる必要があることが明らかとなった
著者
石井 一夫 大森 哲郎
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01 (Released:2014-04-04)

次世代シーケンサーやマイクロアレイなど、多次元データを用いた大規模データ産生システムの医療への応用が進んでいる。これらの多次元データから数理モデルを作成し、臨床診断への応用が期待されている。本研究では、これらの多次元データから、複数のマーカーを選択し、これらを組み合わせた数理モデルを作成する方法を確立することを目的とした。本研究では、精神神経系疾患を対象とし、それらの患者からの血液検体からのDNA、RNA試料を用いて分析を行い、そのデータをもとに、変数選択、モデル作成および最適化などを行い、高精度な数理モデル作成法を確立した。
著者
井手 香織
出版者
東京農工大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010 (Released:2010-08-23)

犬において腸管型アルカリフォスファターゼ(iALP)は、結腸よりも十二指腸の粘膜上皮細胞で多く存在し、かつ活性を有していることが明らかとなった。さらに、、細菌由来内毒素であるリポ多糖類(LPS)を脱リン酸化するという腸粘膜防御機構として重要な作用も有していることが証明された。便中 iALP濃度は犬の炎症性腸疾患症例のうち、臨床スコアの高い重度な症例において、健常犬よりも高い傾向が認められた。