著者
難波 雄亮 山賀 亮之介 永島 徳人 本村 和久
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.150-152, 2017-09-20 (Released:2017-09-29)
参考文献数
8

症例は66歳女性.上肢の動かしづらさで発症し,複数医療機関受診で小脳症状優位である多系統萎縮症(MSA-C:Multiple System Atrophy predominated in Cerebellar ataxia)の診断を受けていた.発症6年の経過で終日ベッド上で過ごすADL(Activities of Daily Living)となり,当院訪問診療を開始となった.往診導入前より頚部・腰部・四肢の疼痛を認めていたが,経過中に疼痛の増強を認めた.アセトアミノフェン・NSAIDs(Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs)・トラマドールの内服を行ったが改善せず,呼吸困難出現もありモルヒネ皮下点滴を開始し,疼痛コントロールを行った.多系統萎縮症ではパーキンソン病と同様に全身の疼痛を来たす事が知られている.モルヒネを使用するまでの疼痛の報告はないため,文献的考察を踏まえ報告する.