著者
濱谷 美緒 陣上 直人 植村 健吾 仲宗根 眞恵 木下 久徳 山門 穂高 二宮 治明 髙橋 良輔
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.424-429, 2016 (Released:2016-06-22)
参考文献数
19

症例は40歳男性.新生児期に遷延性黄疸を認めた.幼少時に自閉症が判明し,カレンダー計算能力をもちsavant症候群を合併した.15歳に幻視と幻聴を認め,30代後半から垂直方向の核上性注視麻痺,四肢脱力発作,小脳失調を認めた.臨床像からニーマン・ピック病C型(Niemann-Pick disease type C; NPC)を疑い,培養皮膚線維芽細胞のfilipin染色からNPCのvariant biochemical phenotypeと考えた.成人期発症のNPCは精神神経症状が主体となり,相対的に症状が軽いvariant biochemical phenotypeを呈することが多いとされ,診断は困難である.NPCは皮膚生検と遺伝子検査により診断可能であり,近年本邦でも治療薬が承認されているため,特徴的な臨床症状を呈する場合は検索を行うことが重要である.