著者
山﨑 晃嗣 竹村 豊 長井 恵 井上 徳浩 竹村 司
出版者
近畿大学医学会
雑誌
近畿大学医学雑誌 = Medical Journal of Kindai University (ISSN:03858367)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1-2, pp.9-16, 2016-06-23

食物アレルギーは小児期において,有病率が高く,増加傾向にある重大な健康上の問題点である.しかしながら,現在のところ,根治に至る有効な治療法はない.そのため,食物アレルギーの発症予防は極めて重要である.食物アレルギーの発症に近年,経皮感作が注目されている.そのため,乳児期の早期に湿疹治療をプロアクティブ療法で行うことで,食物アレルギー発症予防が可能かどうかを検討した.我々の施設を受診した乳児128人を,初診時に生後4か月以下であった早期群66人,5か月以上であった晩期群62人に分けて比較した.結果,晩期群では19人,25アレルゲンの食物アレルギー発症を認めたのに対し,早期群では9人,9アレルゲンでの食物アレルギー発症を認めた.乳児期早期からの湿疹治療により,食物アレルギーの発症と,複数の食物アレルギー発症の予防効果が認められた.食物アレルギー発症予防のためには,乳児期早期からのアレルゲン摂取とあわせて,皮膚治療を行なうことが重要である.