著者
岡内 博 清水 智治 谷 徹
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.72, no.9, pp.2280-2284, 2011 (Released:2012-03-25)
参考文献数
25

症例は58歳,男性.9カ月前に胃石落下による小腸閉塞に対し開腹下に胃石摘出術を受けている.今回,腹痛,嘔吐を訴えて受診となった.精査,既往より再発胃石による小腸閉塞と診断し,開腹手術を行った.胃内に2個,Bauhin弁より90cmの部位に1個可動性のある硬い構造物を触知し,黒褐色の異物を摘出した.大きさはそれぞれ5.5×4.5cm,5.5×4cmおよび4.5×4cmであった.結石分析では成分の特定には至らなかった.落下胃石による腸閉塞は比較的まれな疾患であり,その中でも再発症例は極めてまれである.本邦では,本症例を含めて2例しか報告されていない.さらに自験例ではビールとトマトジュースのカクテルの大量摂取という特殊な嗜好が,胃石生成に関与していると考えられた.本疾患の術後には胃石の生成原因と考えられる因子を取り除き,再発を念頭に置き術後の定期的な経過観察を行うことが重要であると考えられた.