著者
神谷 純広 清水 智治 園田 寛道 目片 英治 遠藤 善裕 三宅 亨 山口 剛 森 毅 仲 成幸 谷 徹
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.826-831, 2012 (Released:2013-08-25)
参考文献数
14

(症例)42歳女性,既往歴:23年前からうつ病,20年前にも針を誤飲.自殺企図にて3日前に5cmほどの縫針5本をプリンと一緒に飲んだという.排便時に肛門痛を自覚し当院を救急受診した.初診時,肛門部皮膚には異常は認めなかった.胸腹部X線写真にて上腹部に1本,下腹部に2本の陰影を認めた.腹部CTにて胃・上部および下部直腸内に陰影を確認でき,下部直腸では管腔外に脱出している可能性が示唆された.初診12時間後に肛門部右前方皮下に異物を触知し局所麻酔下に針を摘出した.胃内の針は内視鏡下に摘出した.上部直腸内に残存する針は2日後には自然排出を確認した.誤飲した針が肛門括約筋外から排泄された症例は極めて稀である.針のような臓器損傷の可能性が高い異物は,アプローチしやすい部位に存在する場合は積極的に摘出処置を行い,それ以外の部位では誤飲から日が浅ければ経過観察することも可能であると考えられた.
著者
岡内 博 清水 智治 谷 徹
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.72, no.9, pp.2280-2284, 2011 (Released:2012-03-25)
参考文献数
25

症例は58歳,男性.9カ月前に胃石落下による小腸閉塞に対し開腹下に胃石摘出術を受けている.今回,腹痛,嘔吐を訴えて受診となった.精査,既往より再発胃石による小腸閉塞と診断し,開腹手術を行った.胃内に2個,Bauhin弁より90cmの部位に1個可動性のある硬い構造物を触知し,黒褐色の異物を摘出した.大きさはそれぞれ5.5×4.5cm,5.5×4cmおよび4.5×4cmであった.結石分析では成分の特定には至らなかった.落下胃石による腸閉塞は比較的まれな疾患であり,その中でも再発症例は極めてまれである.本邦では,本症例を含めて2例しか報告されていない.さらに自験例ではビールとトマトジュースのカクテルの大量摂取という特殊な嗜好が,胃石生成に関与していると考えられた.本疾患の術後には胃石の生成原因と考えられる因子を取り除き,再発を念頭に置き術後の定期的な経過観察を行うことが重要であると考えられた.
著者
清水 智治 三宅 亨 北村 直美 遠藤 善裕 谷 徹 谷 眞至
出版者
一般社団法人 日本エンドトキシン・自然免疫研究会
雑誌
エンドトキシン・自然免疫研究 (ISSN:24341177)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.1-6, 2020 (Released:2020-10-29)
参考文献数
4

Toraymyxin® (Toray Medical Co., Ltd, Tokyo, Japan) has been developed as a direct hemoperfusion column that contains polymyxin B-immobilized fiber to bind endotoxins in the patients’ blood. Toraymyxin was approved by the Japanese National Health Insurance system for the treatment of endotoxemia and septic shock in 1994. We reviewed and analyzed clinical history and evidence of Toraymyxin, and assessed the current status of Toraymyxin use for the treatment of severe sepsis and septic shock. Our review shows that Toraymyxin appeared to be effective in improving hemodynamics and respiratory function in septic shock requiring emergency abdominal surgery. The recent large-scale RCTs could not demonstrate whether prognosis is improved by Toraymyxin. The clinical studies based on large-scale data-base from Japan revealed that Toraymyxin appeared to have a survival benefit in patients with severe condition of septic shock. We also commented on the revised version of health insurance adaptation of Toraymyxin in April, 2020.
著者
坂井 幸子 久保田 良浩 加藤 久尚 森 毅 清水 智治 谷 眞至
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.978-984, 2018

<p>症例は在胎30週4日,812 gで出生した女児.日齢36に壊死性腸炎を発症,日齢44に消化管穿孔に対して開腹術を施行し,壊死小腸を切除して残存小腸は約50 cmとなった.術後11日目に母乳を再開し順調に増量できたが,日齢90頃より下痢便が出現,乳糖不耐症を疑いMA-1<sup>®</sup>へ変更し改善した.日齢123に血便,腹部膨満,CRP上昇を認め,消化管アレルギーを疑いエレメンタルフォーミュラ<sup>®</sup>へ変更したが改善せず,1週間絶食後に経腸栄養を再開したが腸管ガス貯留が持続し,腸内細菌異常増殖症(small intestinal bacterial overgrowth;SIBO)を疑いmetronidazoleの投与を開始した.数日後には腸管ガスの著明な減少を認め,経腸栄養再開後も症状の再燃は認めなかった.本症例では未熟性による腸管蠕動不良,壊死性腸炎,消化管アレルギーなどの要因が加わりSIBOを発症したと考えられた.</p>