- 著者
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岡崎 由夫
- 出版者
- The Association of Japanese Geographers
- 雑誌
- 地理学評論 (ISSN:00167444)
- 巻号頁・発行日
- vol.33, no.9, pp.462-473, 1960-09-01 (Released:2008-12-24)
- 参考文献数
- 34
- 被引用文献数
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広く平坦な釧路湿原は周囲を海成および河成段丘にかこまれ,南部の太平洋とは狭長な砂丘群でへだてられる.これら段丘面は次の通りである.すなわち,海成段丘-白糠 (Dl2, 洪積世前期),根室 (Du1a, 洪積世中~後期)および釧路 (Du2a, 洪積世後期),河成段丘-I (Du1a), II (Du1b, 洪積世中~後期), III (Du2a) およびIV (Du2b, 洪積世末期),および冲積面(釧路平原)である.これら地形面は,主に第三系の向斜が横わる現平原に求心的に繰返された海進,海退によつて形成されたものである.したがつて本平原は主としてこの海進と海退によつて生じたとみられたが,しかし,これら地形面の分布や形状および地形的特徴から,平原は,その中心を洪積前期には西におき,後に東南部へ移した造盆地運動とみられる地盤運動に著しく影響されたことがわかる.大ざつぱに言えば,本平原は撓上地形面にかこまれた一つの堆積盆地である.この地域の地形は冲積世前後のユースタチック運動と地盤運動によつて最終的に決定された.洪積世最末期には海水面は現水準下約90mまで降下し,同時に海蝕面を現海水準下80~160mに形成し,また陸上では海面下80mに埋積谷を作つた. 冲積海進はその最盛期には現海面上約10mに高まり,海湾,古釧路湾を形成した.海退は背後に砂洲や湖沼に伴われた海岸平野を残したが,これらは示差的隆起による地形的特徴を示している. 湿原の形成は排水を阻害したその低水準と砂洲に基づいたものであつた.それ以来,以前の造盆地運動の軸心部に撓下軸をおいた撓曲運動が行われ,湿原表面の起伏に影響を与えている.