- 著者
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岡崎 裕之
紫村 彰吾
宮本 樹
渡邊 樹
布田 裕一
村上 恭通
- 出版者
- 日本ソフトウェア科学会
- 雑誌
- コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
- 巻号頁・発行日
- vol.37, no.1, pp.1_99-1_113, 2020-01-24 (Released:2020-02-22)
暗号技術は情報セキュリティを実現するための基盤要素である.暗号を専門とする研究者や技術者のみならずネットワークエンジニアや運用者等にとっても暗号技術に関する知識の習得は必須である.実際のシステムは,公開鍵暗号や電子署名等の複数の要素技術を組み合わせて構築する必要があるため,様々な攻撃について必要な対策を施しつつ安全性要件を満たすように実現しなければならない.しかしながら,システム構築を座学だけでは初学者に学ばせることは困難である.この課題を克服するために,報告者等は計算機援用による形式的暗号プロトコル安全性検証ツールを利用した暗号技術の基礎知識と利用方法を学習する教材を作成し,演習形式による授業を実践した.形式的暗号プロトコル安全性検証ツールの利用により,既存の教材では学習困難な実際の暗号技術の動作や攻撃を,学習者が設定した暗号システム上でシミュレーションしてインタラクティブに学ぶことが可能となった.本論文では,まず,実践した教育内容の概要とその成果を報告し,更に,現在進めている本教材を元とする CAI 教材開発方針の紹介と,その課題について報告する.